”経験者”の医師が考案 7つのリハビリ体操でめまいを治す

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 めまいに悩んでいる人は「7つのリハビリ体操」を試してはどうか。これまで20万人の患者が試しており、約1カ月で8割の人が改善するという。

「7つのリハビリ体操」を考案したのは、「めまいは自宅で治せる」などの著書がある横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科の新井基洋部長。約20年前から患者に指導している。

「めまいの9割は耳の機能に異常があるものです。これらに対しては、昭和52年以降、新しい薬が出ていません。めまい感を和らげる薬はあっても、機能異常を治す薬はない。つまり、耳鼻咽喉科で行われている治療だけでは、めまいを根本的に治せない人が圧倒的に多いのです」

 めまいは、どちらかの耳の前庭器に障害が起こり、前庭器の中でも特に三半規管の平衡機能に左右差が生じることで起こる。この平衡機能の左右差を元に戻せば、症状をかなり軽減でき、その状態が続けば再発も防げる。それを可能にするのが「7つのリハビリ体操」なのだ。具体的に紹介しよう。

(1)速い横
「前へならえ」のときよりも両腕をやや広げて肩の高さまで上げて肘を伸ばし、両手の親指を上に。頭は動かさず、目だけを動かして左右の親指の爪を交互に見る。

(2)ゆっくり横
 右腕だけを肩の高さまで上げて前方に向けて肘を伸ばし、親指を上に。左手の人さし指であごを押さえ、右手を左右にゆっくり30度くらい動かす。頭は動かさず、目で親指の爪を追う。

(3)振り返る
 右腕を(2)と同じようにした上で、親指の爪から目を離さず、頭を左右に30度くらい動かす。

(4)上下
 右腕を(2)より少し高いところまで上げ、親指を左側に倒す。親指の爪から目を離さず、頭を上下に30度くらい動かす。

※(1)~(4)はイチ、ニ、サンと声を出しながら20回繰り返す。

(5)50歩足踏み
 目を閉じて両手を①のように肩の高さまで上げ、50回足踏み。

(6)片足立ち
 壁などに手を添えて支えにしながら、30秒間、目を開けて片方の足を直角に上げる。左右それぞれ3回ずつ。

(7)寝返り
 あおむけになり、顔だけ右に向けて10秒間→体を右に向けて10秒間→あおむけで10秒間→顔だけ左に向けて10秒間→体を左に向けて10秒間→あおむけ。これを3回1セットで1日3セット行う。

「これらのリハビリ体操を続けると、小脳を中心として三半規管の異常がある側をカバーする平衡感覚の新たな神経ネットワークが構築されていき、めまいが治っていきます」

 リハビリ体操は、めまいがある時に行うのはつらい。一時的に症状がぶり返すこともある。

「しかし、諦めずに続けて欲しい。めまいは寝ているだけでは治りません。患者さんには『体操をする前に“私はめまいを治す! 私はめまいに負けない!”と魔法の言葉を自分にかけてください』と指導しています」

 実は、新井部長自身、“めまい経験者”だった。出張先で突然発症したが、リハビリ体操を続けて克服した。

 リハビリ体操は、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メニエール病、めまいを伴う突発性難聴、片頭痛性のめまい、脳梗塞・脳出血の治療後に残るめまいなどに有効だ。

 ただし、めまいは重大病のサインの場合もある。初めて発症した時は、必ず検査を受けること。

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