ビール“ロング缶”を1日1本 ホップにワイン以上の健康効果

おからや豆腐と飲むとベスト
おからや豆腐と飲むとベスト(C)日刊ゲンダイ

 仕事のあとに冷えたビールがピッタリの季節。このビールの主原料であるホップに健康効果があることが、大学の研究などで次々に明らかになっている。たとえば2011年、ハーバード大の研究で、“1日1~2杯のビールを飲む人の糖尿病の発症率は、そうでない人に比べ25%低い”ことが分かった。最近は、がんや認知症予防の効果でも注目されていて――。

 そもそも、ホップは400~500年前から西洋で安眠効果などが期待される薬草として重宝されてきた。ホップの研究歴20年、国立高専機構・高知高専名誉教授で「ビールは、本当は体にいいんです!」(角川SSC新書)の著者・戸部廣康氏が言う。

「ビールの苦味や香りのもとになっている、苦味成分・イソフムロンは脂肪の代謝を促進させ、糖尿病を予防します。また数年前にはイソフムロンに、神経細胞の死滅を抑制する作用があることが分かりました。つまり認知症の予防も期待できるのです。認知症については、キリンホールディングスが『イソフムロンには神経細胞の機能に関与する遺伝子の働きを強める作用』があるとの論文を発表しています」

■ノンアルでも効果あり

 これだけじゃない。ホップに含まれるキサントフモールと呼ばれる成分は、体の中で女性ホルモンに似た作用を持つ物質に変わり、骨粗しょう症や更年期障害にも効果が認められている。ホップはかくも複数の健康効果を持つ。

「そして極め付きはイソフムロンが、健康ブームを起こしたワインに含まれるポリフェノールの成分レスベラトロールの量に比べ、ビールには多く含まれ、強い抗酸化作用を持つことです。抗酸化作用は知っての通り、がん予防や老化を防ぐ効果が期待されています。ワインよりビールの方が健康効果がずっと“上”といっていいでしょう」

 では、適量はどのくらいか? 戸部氏によれば、ホップの成分が体に効果的に働きかけるには、“毎日500ミリリットルがちょうどいい”という。ロング缶1本ってところか。

「ノンアルコールでも、ホップを含んでいれば効果はありますが、外国の実験結果ではアルコールとの相乗作用も認められています。より効果があるのは、ビールといえるでしょう。ホップの量は各社の企業秘密ですが、苦味が強いほど薬理作用がある。苦味で選ぶのもいいかもしれません」

■おからや豆腐と飲むとベスト

“ビールっ腹”といわれる通り、ビール好きは太った人が多い。まるでビールが太る原因のようだが、それは誤解だ。

「ビールには糖質が含まれていますが、ドイツやスウェーデンなどの研究で、ビールを飲む人と飲まない人との間で、お腹回りの脂肪に差がないことが分かっています。むしろ原因は、おつまみの選び方や食べ過ぎにあります。糖質の多いポテサラや空揚げ、チーズの盛り合わせなどは控えたほうがいいでしょう」(「やせたい人は、今夜もビールを飲みなさい」=PHP研究所=の著者で、管理栄養士の安中千絵氏)

 ベストは、アルコールの代謝を助ける、おからや豆腐と飲むことだ。

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