がんや糖尿病にも…「いつもの疲労」に潜む重大病のリスク

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「疲れが抜けない」「体が重だるい」といった不調を“いつものこと”と考えていたら、実は重大病だったということは珍しくない。特に、さまざまな病気のリスクが高くなる40代以降は注意が必要だ。“危ない疲労”を見逃してはいけない。

■ふらつきがあればがんの疑い

「肝臓病=疲労感、だるさ」というイメージからか、これらの症状を訴えてくる患者が多いと、杏雲堂病院肝臓内科・小尾俊太郎部長は言う。

「確かに、肝臓病で疲労感やだるさの症状はありますが、メジャーではありません。40代以降であれば、“危ない疲労”の代表格は、うつ病や男性更年期障害です」

 Aさん(42)は朝、体が重だるく、布団からなかなか出られない日が続いていた。笑うことが減り、家族が話しかけてもぼーっとしていることが増えた。家族が無理やり病院に連れて行ったところ、男性ホルモンの数値が低く、男性更年期障害と診断された。

「疲労に加え、抑うつ気分、興味、喜び、気力、思考力、集中力の減退、睡眠障害、自分を責める気持ちなどが続けばうつ病の可能性は高い。うつ病と男性更年期障害は別の疾患ですが、最近は相互関係も指摘されています。うつ病の人の男性ホルモンの数値を調べると、低い人が少なからずいるのです」

 男性更年期障害では、下半身の衰えを伴うことも。EDまでいかなくても、勃起しにくい“中折れ”なども含む。

 早期発見かどうかで、天国と地獄に分かれるケースもある。

 Bさん(52)の「疲労」は、ふらつきも目立っていた。階段を駆け上がったり、椅子から立ち上がったりした時、ふらっとする。病院での検査結果は、大腸がんだった。

「疲労、体のだるさ、めまいとくると、貧血が考えられます。男性の貧血は深刻で、臓器からの出血が疑われます。その中でも怖いのは、がんによる出血。男性の5大がんといえば、大腸、胃、肺、肝臓、前立腺がんですが、胃と前立腺は高齢者に多く、肺がんは喫煙者、肝臓がんは肝炎ウイルス保持者に見られる。大腸がんだけが40代以降の年代のだれにでも見られるがんなので、“自分は大丈夫”などと思わないでほしい」

 がんの場合、体重減少や、休息しても取れない倦怠感も伴う。大腸のどこにがんができるかで、便に血が混じるといった“目に見える症状”が出にくいことがある。これも覚えておくべきだ。

■「足に重り」は糖尿病?

「体全体も重だるいが、特に足におもりをつけられたようなだるさを感じていた」と話すのは、その後病院を受診して糖尿病が判明したCさん(50)。

 せっかちなCさんは、以前はエスカレーターでダラダラ上るより、階段をサッサと上ることを選択していた。しかしそれも、次第につらくなってきた。

「糖尿病は糖(燃料)をうまく細胞(エンジン)に取り込めない状態です。だからだるいのです。高血糖は脱水を引き起こし、それによって口渇、多飲、多尿という症状も引き起こします。さらに血管や神経が破壊され、失明や腎不全を招きます」

 糖尿病は急激に発症することはないが、血糖値の高さを過去に1回でも指摘されたことがある人は、不規則な生活習慣やストレスなどが加わって、一気に血糖コントロールが悪くなることもある。思い当たる点があれば、すぐに内科で血糖の状態をチェックした方がいい。

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