怖い薬の飲み合わせ

<第1回>ロキソニンが低血糖を招く

 超高齢化社会が進み、慢性疾患に悩んでいる方が増えています。医師から出される処方薬を毎日飲みながら、市販薬を同時に服用する機会も少なくないはずです。しかし、自己判断で薬を飲むと、思わぬ副作用に見舞われるケースがあります。今回は「ロキソニン」のお話をしましょう。ロキソニンは、頭痛・生理痛の痛み止めや風邪をひいたときの解熱として多用されます。現在は一般用医薬品として、ドラッグストアでも簡単に購入できます。

 ただ、ロキソニンには注意すべき点がいくつも存在することをご存じでしょうか。

 最も知られている副作用に胃腸障害があります。ロキソニンによって胃潰瘍を発症してしまうケースもあるなど、胃が荒れてしまうのです。そのため、胃の痛みを止めようとしてロキソニンを服用するのは最悪です。一時的には胃痛が治まるものの、その副作用によってさらに症状が悪化してしまうからです。

 単独使用だけでなく、他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。ロキソニンは血糖降下薬のSU剤と併用すると、血糖値を下げる作用が増大し、重篤な副作用である低血糖を招く恐れがあります。低血糖を起こすと最悪の場合は命に関わります。糖尿病の方は注意してください。

 他にも、躁病の薬(リーマス)との併用でリチウム中毒になる恐れや、心筋梗塞や脳梗塞の予防や治療に使われる抗凝固剤(ワーファリン)では、抗凝血作用が強まって出血しやすくなるケースもあります。

 誰でも知っているような身近な薬でも、使い方を間違えれば重篤な副作用を招く恐れがあります。

 少しでも薬について疑問が生じたら、自己判断ではなく薬剤師に相談してください。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。