喘息のように咳症状が表れたり呼吸が苦しくなったりする疾患に対しては、気管支を拡張させて炎症を鎮める「テオフィリン」が使用されるケースがあります。ただ、テオフィリンは有効域と中毒域の間が比較的狭く、血液中の薬物濃度が高くなると、頭痛、嘔吐、下痢、けいれんを引き起こすことがあります。
さらに、テオフィリンはさまざまな薬との飲み合わせに注意が必要です。
例えば、胃薬で活用される「シメチジン」(商品名:タガメット)はテオフィリンの働きを増強させます。テオフィリンは肝臓の酵素によって代謝されますが、シメチジンはテオフィリンの代謝に関わる酵素を阻害する働きがあります。そのため、テオフィリンがなかなか代謝されず血液中にとどまることになり、テオフィリンの作用が強まって副作用が表れやすくなるのです。
また同じ理由により、ある種の抗生物質とテオフィリンを併用することでも、テオフィリンの作用が強くなります。
反対にテオフィリンの働きが弱くなってしまうケースもあります。代表的な例がたばこです。前述の通り、テオフィリンは肝臓の代謝酵素によって無毒化されますが、喫煙をすると「テオフィリンの代謝に関わる酵素」がたくさん作られるようになります。その結果、テオフィリンがいつもよりも素早く無毒化されるようになり、薬の効果を適切に得られなくなるのです。
喘息治療薬として有用なテオフィリンですが、胃薬やたばこといった身近な物によって、飲み合わせの問題が起こってしまいます。服用されている患者さんは、医師や薬剤師にしっかり確認しましょう。
怖い薬の飲み合わせ