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「脳に良い油」選びが認知症予防のカギ

オメガ9系のオリーブオイル
オメガ9系のオリーブオイル(C)日刊ゲンダイ

 認知症の患者数は、その前段階の軽度認知障害も含めると、約400万人と推計されています。これは、65歳以上の4人に1人に該当する計算。発症すると、一部の認知症を除き、“完治”は難しいといわれています。

 だから気になるのは、予防策です。認知症の約20%が血管老化から起こる動脈硬化や脳梗塞による脳の機能低下。そして、脳は60%が脂質です。特に神経細胞の膜には脂質が多く存在するため、私は「頭に良い油を取ることがカギになる」と考えています。

 日常的にどんな油を使ったものを食べているかによって、良い脳か、劣化する脳かが決まるのではないか――。では、「脳に良い油」とは、どういうものなのでしょうか?

 最近、話題のエゴマ油や亜麻仁油、これらに代表されるα-リノレン酸はオメガ3系脂肪酸のひとつで、脳に良いことは知られています。加えて、オメガ9系であるオリーブオイルやゴマ油、米油なども脳に良い油です。

 一方、かつて体に良いとされていたサラダ油やキャノーラ油、リノール酸などのオメガ6系は、長期保存や加熱、取り過ぎで脳神経細胞にダメージを与えたり、血管障害を引き起こすことが明らかになってきました。

 もちろん、どの油も「取ってはいけない」あるいは「大量に取っていい」というわけではなく、大切なのはバランスです。ところが日本人の現在の食生活を見ると、外食やジャンクフードの多さからオメガ6系に偏っている傾向があります。将来の健康リスクを考えて、オメガ3系、9系を選んで摂取することをお勧めします。

 ただし、オメガ3系は熱に弱いので、生で飲むか、サラダのドレッシングとして。逆にオメガ9系は熱に強いので、炒め物などにも使えます。

 また、どんな良質な油でも時間の経過とともに酸化します。抗酸化ビタミンたっぷりの野菜や果物と一緒に食べたり、レモンで酸味をプラスするなどしてください。

佐藤智春

佐藤智春

スタイリストとして活躍していた32歳の時、働き過ぎで体調を崩しダウン。「分子整合栄養医学」に出会い、人体と栄養の関係を学び、実践を重ねながら健康を取し、血液栄養診断士の資格を取得。現在はクライアントの血液データから栄養を厳密に把握し、食と医療、ライフスタイルを具体的に提案。著書に「卵を食べれば全部よくなる」「男は食事で出世させなさい」「身長を伸ばす7つの法則」など。