看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

「がんになったってセックスしたい」は当たり前の感情

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「がんになったって、調子が良ければキスだってハグだってセックスだってしたい」「パートナーががんになった。でも、無理のない範囲でセックスをしたい」――。これらは、患者さんとそのパートナーの隠された本音だと私は思っています。

 それは残された時間が限られたケースでも同じで、「寄り添って一緒に寝たい」「手を握ってほしい」と同様の愛情の表現だと思うのです。

 もちろん、病状や、がんになる以前のパートナーとの関係性において支障や影響がある場合はその限りではありませんし、すべての方に該当することではありません。しかし、少なくとも「普通じゃない」「ご法度」「隠さなければいけない」といったテーマではないということを、皆さんにも知っておいてもらいたいのです。

 ただし、愛情表現をする際には、両者のきちんとした意思表示やコミュニケーションのもとに合意が得られていることが大前提。がんの種類や治療内容によっては、医学的・機能的に難しい場合もあると、念頭に置いてください。

 手術後は、体力の低下、傷による体勢の制限、ボディーイメージの変化(例えば、乳がんであれば乳房の傷や変形により、自分らしさや女性らしさが損なわれているように感じてしまうこと)があるので、一般的にはさまざまな工夫が必要です。

 セックスに関する話題は個人的なものですし、非常にデリケートなので、主治医や看護師から積極的にアドバイスしづらい現状があります。しかし、それは「やってはいけません」という意味ではありません。

 不安や疑問があれば、主治医や看護師に相談してください。恥ずかしければ紙に書いて渡してもいいですよ! あなたとパートナーにとって、安心で安全で心地よい愛情表現の方法が見つかることを祈っています。

 次回は、話す機会の多い「がんとセックス」のアドバイスについて、具体的に取り上げたいと思います。