看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

小学生からがん教育

 先週に続き、10月に開かれた「日本癌治療学会」の話題をもうひとつご紹介します。近年、注目が高まっている小学生からの「がん教育」についてです。

 がん対策推進基本計画で、学校教育での「がん教育」の検討が盛り込まれており、文科省が検討会を設置しています。

 医療の現場では2人に1人ががんとなる時代。前回、がんと妊娠についてお話ししましたが、例えば、12歳の女の子ががんになる場合もあるのです。治療をどうするか。子供を授かる可能性についてどう考えるか。主体的に考える上で、子供であってもがんの知識は必要でしょう。

 とはいえ、大人でさえ正しい知識があるとは言い難く、家庭で子供へのがん教育を行うのは難しい印象もあります。それを小学校などで教育としてどう行うか。前述の検討会などで議論が重ねられているのです。

 報告書によると、がん教育の目標は、①がんについて正しく理解できるようにする②健康と命の大切さについて主体的に考えられるようにする、というもの。

 地域や学校の実情に応じて、学校医やがんの専門医らの外部講師の参加・協力を推進することや、がん経験者らを外部講師に加えるなどの指導方法の工夫がいわれています。「日本癌治療学会」では国際対がん連合日本委員会と合同で、がん治療医、教諭、がん経験者らを集めたシンポジウムが開催されました。

 今後は、生活習慣病予防を中心に小学校からがん教育に取り組む時代になるでしょう。つまりは、私たち大人もがんについて正しく知っていなくてはならず、また、子供たちの手本となるような生活習慣を身につけなくてはなりません。がん看護専門看護師としても、がん予防という分野を、保健師とも協力しながら推進していかなくてはいけないと思っています。