成功のヒミツ失敗しないコツ

なったその時どうする?「金縛り」のメカニズムを紐解く

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 朝でもないのにふと目が覚めてしまい、なぜか体が動かない。誰かが体の上に乗っているような息苦しさを感じる……。多くの人が経験をする「金縛り」。中には何かの呪いだとか霊的体験だと言う人もいるが、あれはいったい何なのか。

 芦屋JINクリニックの神三矢医師によれば、「金縛りは睡眠障害のひとつで、医学的には睡眠麻痺といいます」とのこと。そのメカニズムはこうだ。

「人は寝ているとき、90分おきにレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。レム睡眠は脳は動いていて体が寝ている状態、ノンレム睡眠は脳が寝ていて体が起きている状態です。ところが、極度の疲労に陥っていたり、脳が興奮した状態だったりすると、このリズムが狂うことがあります。その結果、体が寝ているレム睡眠のときに目が覚めてしまうと、金縛りといわれる状態に陥ってしまうことがあるのです。目は動くけれど、随意筋(自分の意識で動かせる筋肉)を動かすことができず、パニックになって息が苦しくなったり、心拍数が高まってしまったりするのです」

 では、人影など、何かよからぬものを見てしまうという人が多いのはなぜなのだろう。

「レム睡眠のときは夢を見やすい状態になっています。睡眠麻痺は完全に覚醒しきっていない状態、半分寝ている状態のときに起こるので、夢と現実が混ざってしまい、霊的体験と思い込んでしまうことが多いのです」

■睡眠障害が原因の可能性も

 金縛りをその場で解く方法はあるのか。

「まず、霊的体験ではないと認識しておくこと。誰にでも起こりうるものだとわかっていれば、焦ることなく怖いものを見ることもないでしょう。また、慌てずにそのまますぐに再び眠るようにするのが一番です。半分寝ている状態ですから、すぐにまた眠ることができますよ」

 とはいえ、金縛りにならないように普段から生活習慣を整えたり、ストレスの多いときにはリラックスを心がけたりすることが最善策とのこと。寝る前にスマホなどの画面を見て脳を興奮させてしまうのもよくないという。疲れが出やすい季節の変わり目、しっかりコンディションを整えておきたい。

 ただ、生活に気をつけていても頻繁に金縛りに遭ってしまうという人は、要注意だ。

「頻繁に起こる人は、ナルコレプシーという睡眠障害が原因になっている可能性もあります。これは日中、どんな場所でも急に寝てしまったり、昼寝でも幻覚を見るなど、治療が必要となる病気です」

 心当たりがある人は、睡眠外来などで診てもらうようにしよう。

関連記事