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スエットで近所外出が命取り? 春先の“温度落差”に要注意

薄着でフラッとが危ない
薄着でフラッとが危ない(C)日刊ゲンダイ

 日本海側では大雪の被害が続いているが、都内では春の気配も感じる。だんだん防寒意識も薄れてくるが、早朝は0度前後と気温差が激しい。

 暖かい部屋から、いきなり寒い場所へ。そんな日常のちょっとした行動が命取りになる危険があるという。

「環境温度の変化による“温度落差”で血管が収縮し、血圧が急激に上昇する。脳卒中や心筋梗塞につながる不整脈を起こしやすいのです」(国際医療福祉大大学院の前田眞治教授=医学博士)

 前田教授はユニクロなどと共同研究し、温度落差の危険レベルをシーン別に出している。

 例えば暖房の効いた部屋で家事をした直後に、暖房がないトイレや風呂場で掃除を始めたり、ベランダに洗濯物を干しに行ったり……春の気配を感じ始めるこの時季は、真冬みたいに小まめに上着を羽織らなくなる。それが危ないのだ。

■数分程度の外出でも一枚羽織る

 オフィスなら安心というわけでもない。

「例えばデスクワークをした後に、そのままの服装で暖房の効いていない建物内を移動する。この行動で、血圧(㎜Hg)は、10以上15未満の上昇が考えられます。動悸や、軽い頭痛などの疾患を起こす可能性があります」(前田眞治教授)

 満員電車で暑いからとコートを脱ぎ、そのまま駅の寒いホームに降りる。その後すぐにコートを羽織っても、血圧の上昇リスクは高いという。ほんの一瞬の行き来にも危険を伴うのだ。スエットなどの部屋着のままベランダに洗濯物を干しに行ったり、ゴミ捨てに出たり、コンビニなどに買い物に行く。

「こうした数分程度の“外出”でも血圧を15以上、上昇させることが分かっています。これは“準備運動”なしで、いきなり激しい運動を始めた場合の最初の1分と同じレベルの血圧上昇をもたらします。心臓に大きな負担がかかり、不整脈、脳卒中を引き起こす可能性がある。温度落差には、保温性が高く着脱容易なフリースを1枚羽織るだけでも効果はあります。なお、実験は健康な30代を対象に行っていますので、年齢は関係ありません」(前田眞治教授)

「春めいてきたなあ」と薄着で外出するには、まだ早そうだ。

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