末期がんからの生還者たち

急性骨髄性白血病<4>個人負担は約35万円 主に抗がん剤費用

高松珠代さん(提供写真)
高松珠代さん(提供写真)

「横浜市立大学付属病院」(神奈川県横浜市)で、急性骨髄性白血病と診断された高松珠代さん(55歳=神奈川県逗子市在住)は2014年5月、大学生の長男から骨髄液の提供を受け、白血病が完治した。 

 告知を受けてから精密検査、抗がん剤の治療を経て、骨髄液移植に至る約2年間に及ぶ治療を行った。

 費用はどのくらいかかったのだろうか。

 病院に支払った個人負担金が総額で約35万円(3割負担。高額療養費限度額適用)である。

「入院中は『一人部屋』(無菌室)に入りました。しかし私の場合は、部屋を治療で使うために差額ベッド代は請求されませんでした。また高額な手術もありませんでしたので、治療費の主な支払いは抗がん剤だったと思います」

 ただ、がん保険に加入していなかったことが悔やまれた。それでも医療保険給付金などでかなり助かったという。

 保険金の総額は約92万円だった。内訳は生命保険会社から入院1日につき5000円(最長60日間までの保障)。ほかに、夫の勤務先を通して組合簡保健康保険から月に約4万円が給付された。

■夫の勤務先から月4万円の保険金給付

 しかし、「骨髄移植」は手術とは認められず、保険会社による手術費の保障は対象外とされたという。

 高松さんの場合、病院に支払った治療費総額よりも、保険金・給付金額の方が多くなったようだ。

「ただ、治療期間中は仕事を休んだため、大学に通う長男、次男を支える生活費が大変でしたね。主人が働いていたからよかったのですが、私の収入が突然に途絶えてしまうということは家計がマイナスということになります。これは支払う治療費と同じくらい厳しいものがありました」

 高松さんは現在、自宅から電車で、勤務先である神奈川県立金沢養護学校に通勤している。

 途中、電車の窓から、入退院を繰り返していた横浜市立大学付属病院が視野に入る。

「思い出しますね。でも骨髄移植からもう4年が経過し、合併症を心配する期間も過ぎてホッとしています。入院中、私は毎日、日記をつけておりまして、今、懐かしく読み返して泣いたり、笑ったりしています」

 14年1月、入院して間もない時期の一節がある。

「プリンくいてえ、ゼリーよこせ だんな、せっせと届けてくれた。ありがとう りんごくいてえ~ どこか食べやすくむいてくれた おいしい~」

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