がんと闘う人々

肝臓がん<2>亡くなった両親がラジオ波焼灼治療法に導いた

石川廣司さん
石川廣司さん(提供写真)

 東京・板橋区に住む石川廣司さん(71)は、8年前の2010年11月、「日大板橋病院」で「肝臓がん」の手術を受けた。

 腹部約50センチを開腹し、4個の腫瘍を切除する。手術に要した時間は約12時間だった。

「幸い、執刀してくれた医師が、日本では肝臓外科の名医といわれている先生で、安心して手術を受けることができました」

 術後、2週間入院して帰宅した。手術痕の痛みがひどく、体の自由が利かないことに閉口した。

 自宅で安静にし、窓から外を眺めているだけの生活を続けたが、年が明けた11年の1月、経過診察で、「悪性リンパ種」が見つかる。

 石川さんの「悪性リンパ腫」は、「濾胞性のリンパ腫」(がん細胞が数多く固まった球状の形態)に分類され、B細胞(骨髄で作られる血液)から発生する「低悪性度」のリンパ腫であった。同腫は年単位で病症がゆっくりと進行する。放射線療法でほぼ完治するが、再発の確率が極めて高い特徴を持つ。

■手術待ち1カ月が3日に

 2月、この「悪性リンパ腫」の治療のために約2週間入院。全4回の抗がん剤(リツキサン)治療を受けた。ほかに通院で3回である。

 5月に入って、4回目の入院で「C型肝炎」治療のための「インターフェロン」と抗がん剤治療を併用して受けることになる。

「肝臓がん」の告知を受ける前の石川さんは、40代末で「C型肝炎」と診断され、サラリーマン時代から定期的に検診を受けていた。同治療をほぼ1年間、48週間続けて、「C型肝炎」のウイルスを死滅させた。

 他方、「肝臓がん」の手術から2年余りが経過した2013年3月、検診で「肝臓がん」の再発を告知される。

 担当医師から再手術を提案されたが、「当時の私はすでに66歳。過酷な手術に耐えることができるだろうかと考えてしまいました」。

 手術以外の治療選択はないかと、ネット検索などで情報を集めた。しかも石川さんは、医療関係の会社に勤務していた経験から、最新の医学情報にも明るかった。目に留まったのが「ラジオ波焼灼治療法」である。同療法は、がん腫瘍に針を刺し、通電(約100度)させてがんを死滅させる療法である。

 この関連情報の収集中に、同療法で知られる医師が自宅から近い「順天堂大学練馬病院」に在籍していることを知った。

「まさに一大決心で、順天堂に治療予約のアポイントを入れました」

 同病院の前には、偶然にも石川さんの菩提寺があった。何か両親が導いてくれたような気もしたという。

 しかも、通常なら同治療を受けるのに1カ月の待ち時間が必要だというのに、「3日後に来てください」という返事である。すぐに転院した。

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