専門家に学ぶ 喘息コントロール術

発作のコントロールにはアレルギー性鼻炎治療も不可欠

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 近年、注目されているのが「oneairwayonedisease」という考え方です。直訳すれば、「一つの気道に一つの疾患」となります。

 喘息は気管支の慢性的な炎症によって生じる病気です。

 一方、鼻の慢性的な炎症による病気がアレルギー性鼻炎などです。鼻(上気道)と気管支(下気道)はつながっており、それぞれの炎症は血液中の細胞を介して相互に影響し合っています。

 実際、喘息の患者さんの3分の2以上がアレルギー性鼻炎、花粉症、慢性副鼻腔炎を合併しています。

 つまり、「oneairwayonedisease」は、上気道と下気道という同じ気道に起こるアレルギー性炎症を総合的にとらえて治療を行おうという概念になります。

 一般的に喘息は呼吸器内科が診断・治療を行い、アレルギー性鼻炎などは耳鼻咽喉科が診断・治療を行っているのですが、これら2つの科が手を取り合って治療を行うところが増えています。

 喘息の治療を一生懸命やっても、鼻の病気の治療が不十分であれば、喘息のコントロールはうまくいきません。逆もしかりです。

 喘息発作を繰り返していたある患者さんは、慢性副鼻腔炎で常に鼻が詰まっていました。すると自然と口呼吸になります。口から呼吸を行えば、乾いた冷たい空気が口から入ってくることになります。気管支の平滑筋は冷気にさらされると縮んでしまうため、喘息の症状が出やすくなります。「気管支喘息の口呼吸は肺機能を低下させる」という内容を記した論文も発表されています。

 この患者さんの場合、鼻の治療を行って、鼻呼吸に切り替えてもらうことで、喘息のコントロールがうまくいくようになりました。「喘息患者はそもそも口呼吸になりやすい傾向にある」ともいわれているので、自分が口呼吸かどうかチェックすることも必要だと思います。

(NTT東日本関東病院呼吸器センター・放生雅章センター長)

関連記事