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カサカサ声で喉が詰まる…年齢のせい? 喉頭がんも心配

つんく♂
つんく♂(C)日刊ゲンダイ

【Q】若い頃は美声が自慢でしたが、最近はカサカサ声で喉が詰まるような感じがします。年のせい? 歌手のつんく♂さんのケースもあり、喉頭がんも心配です。 (60代男性)

【A】加齢で声が衰えるのは、自然な老化現象です。声帯にある2枚の筋肉が徐々に弾力を失い、左右がピタッと閉じなくなり、息漏れしたり声が響かなくなったりするのです。

 問題なのは、急に声が変化した時です。喉を酷使したわけでもなく、風邪でもないのに、突然声がかすれてきた場合は、声帯をつかさどる「反回神経」が圧迫されているのかもしれません。

 反回神経を圧迫する可能性があるのは、胸部大動脈瘤、甲状腺・食道・肺の腫瘍。カサカサ声の原因が、実は肺がんだったというケースもあります。ご心配の喉頭がんなど声帯のがんは、“カサカサ”より“ガラガラ”の声になります。

 さらに、脳梗塞の前兆が声を変化させる場合もあります。以前、「急に喉が詰まる感じがして声を出しづらくなった」と訴える患者さんを診察したところ、内頚動脈(喉の奥を通る細い動脈)が口の中に湾曲して腫れて脈動していました。

 内頚動脈が湾曲しているとカーブ部分に血栓ができやすく、血栓が脳に運ばれて脳梗塞になる危険が大です。その患者さんも、間もなく脳梗塞で入院しました。

 私どもの研究班の調査では、明らかな危険因子がなく原因不明の65歳以上の脳梗塞患者の87・5%に、頚動脈の走行異常が見られました。高齢で頚動脈が曲がる理由は、首が前傾しやすく、かつ頚椎が短くなるからです。「65歳以上」「首が前傾している(猫背)」「若い頃より身長が3センチ縮んだ」という3点が、頚動脈走行異常、ひいては脳梗塞を起こしやすい条件です。

 突然の声の異変は、思いも寄らない病気のサインかもしれません。ぜひ専門医を受診してください。

(国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科・角田晃一先生)

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