遅い夕食で太りたくなければ「夕方」にようかんを食べる

間食は疲れも癒やす
間食は疲れも癒やす(C)日刊ゲンダイ

 夕食前にようかんを食べる――。“普通”に考えたら、カロリー過多になり、体に悪いだろう。しかし現代のサラリーマンには、このようかんが体重増加を防ぐことにつながるかもしれない。時間栄養学研究の第一人者である早稲田大学先進理工学研究科・柴田重信教授は、間食と血糖スパイクの関係について体を張って調べている。

「私は朝7時に朝食、昼12時に昼食を取っていますが、夕食は夜9時半ごろと間が空きます。そこで昼食と夕食のちょうど真ん中あたりである夕方5時から6時くらいにさまざまな間食を取り、計36回にわたって血糖値の変動を調べました」(柴田教授=以下同)

 ちなみに時間栄養学とは、体内時計の生体リズムから研究された栄養学のこと。そして血糖スパイクとは、食後急激に血糖値が上昇し、その後、急激に低下する血糖値の急激な変動のこと。血糖スパイクを放置すると、肥満、心臓病などの血管の病気、認知症、がんなどのリスクを高めることが証明されている。

 柴田教授が間食として取ったのは、おにぎりや桑の葉入り食品、ようかんなど。朝食、昼食、夕食は普段通りにした。

「すると、いずれの間食も夕食時の血糖スパイクが起こりにくく、血糖値の変動幅も、間食を取らない時より狭い状態を維持できました」

■血糖値の急上昇や急降下を防ぐ

 さらに調べたのは①間食を取らない②間食を夕食前に取る③間食を夕食後に取る――のうち、血糖スパイクが最も起こりにくい食べ方。間食に選んだのは、一般的に考えて「間食としてNG」のようかん。夕食時間は夜9時15分で、②の間食は夕方5時半に取った。

「血糖値の変動を計3回調べたところ、夕食前にようかんを食べた時(②)が、最も血糖値の変動を抑えられました。間食を取らない場合(①)は夕食で一気に血糖値が上がり、夕食後にようかんを食べた場合(③)は、夕食で血糖値が急上昇し、間食で血糖値がさらに急上昇。高い血糖値を就寝中も維持しました」

 これは、最初に取る食事(ファーストミール)が、次に取る食事(セカンドミール)の後の血糖値に影響をもたらし、血糖値の急上昇を抑制する「セカンドミール効果」を表している。

「朝食は昼食にセカンドミール効果として影響を及ぼしますが、昼食から空き時間が長い夕食は、セカンドミール効果がない。加えて、空腹時間が長く続いたところに夕食として食事を取るため血糖値の上昇がより急激になるのです」

 これを回避させたのが、昼食と夕食の間に取った間食だ。ようかんであっても、セカンドミール効果として夕食後の血糖値急上昇・急降下を抑制できるとは驚きだ。

 柴田教授は、“攻めの間食”を勧める。血糖スパイク対策に加え、体内時計のズレも防ぐ。

「私たちの体は絶食時間が長くなると、その後に取った食事を“朝食”と認識します。それによって、1日24.5時間の体内時計を1日24時間に合わせてリセットさせています。だから朝、昼、夜と同時間ずつ空けて食事を取るべきですが、現代人は難しい。昼食から夕食まで長く時間が空くと、体は夕食を“朝食”と認識し、体内時計がズレていく。そうならないように、昼食と夕食の間の間食が重要なのです」

 攻めの間食は、遅い夕食前に食べるのがいいのであって、「いつでも食べていい」わけでない。お間違えなく。

 柴田教授の研究ではようかんを食べたが、食物繊維が豊富な食品の方がセカンドミール効果がより高くなるという。

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