「自分が死ぬ」準備

腰や膝が悲鳴…75歳まで働き続けるために必要な体メンテ

重要なのは歩き方
重要なのは歩き方(C)日刊ゲンダイ

 60歳定年後は65歳まで継続雇用で働く。さらに、元気なうちは、あと3年、いや70歳を目標にアルバイトなどで社会と接していたい――。こうした流れは今後一段と進み、70歳はおろか、75歳まで現役で働く時代がやってくるかもしれない。問題は、その時に健康でいられるか否かだろう。とくに、65歳以上になると、加齢とともに腰や膝が悲鳴を上げる。必要なメンテナンスは何か?

 65歳以上になると、腰痛や手足の関節の痛みを訴える人が増える。インターネットのサポートサイト「関節ライフ」のまとめによると、この世代の有訴者率上位は、男性が腰痛、頻尿、聞こえにくい、手足の関節の痛み、せきやたん……の順。同じく女性は、腰痛、手足の関節の痛み、肩こり、目のかすみ、物忘れ……の順に多いという。

 男女とも、腰痛と膝などに代表される関節の痛みは、切っても切れない悩みのタネなのだ。

■70歳を過ぎたら仕事で無理しない

 とはいえ、仕事を続けるのなら、泣きは入れられない。効果的な対策はというと――。

 千葉県で「松永気功塾」を開設する松永徹塾長(73)がこう言う。

「一般的にはスクワットなどの筋トレが良いといわれますが、心得がない人が自己流でやると、逆に腰などを痛めかねません。自分で、簡単に、家でもできる意味では、65歳以上の方にはウオーキングをオススメします。重要なのは歩き方。カカトから着地するように意識して歩くことです。カカトから着地すると、その瞬間、当然つま先は上を向く。その時、膝の裏側は伸びた状態になるんですが、これが大事です。カカトから着地する歩き方をすると、自然に腰が伸びる。腰が伸びると、背骨も伸びて胸を張って背筋を伸ばした姿勢を保つことに。この時、顔はイヤでも前を向き、目も正面に向く。ウオーキングでこの一連の流れを繰り返すと、経絡の流れがグンと良くなる。メンテナンスの意味では、体に良いことだらけといっていいでしょう」

 この動きと姿勢は、肝臓に良く、気功で言う生命エネルギーが宿るといわれる「腎」も元気になるらしい。温泉や旅行より安上がりで簡単な点もいい。

 松永塾長は、60代後半を中心に20人ほどいる塾生にも、いの一番にこのウオーキングを教えていると笑う。

「この歩き方で背骨が伸びると、督脈と任脈という経絡を刺激するため、五臓六腑全体が元気になる。実は背骨の膨らみには肺兪、肝兪、腎兪などいくつもの重要なツボが並んでいます。だから、背骨を立てる姿勢を取ることにより、経絡の流れが良くなり元気になりたくなくても元気になってしまうのです。1日1回、10~20分くらい毎日続けることで、腰や膝痛の予防にもなるはずです」(松永塾長)

 もちろん、スクワットなどの筋トレだってキチンとやれば効果的だ。7年前に心臓のバイパス手術を経験した、医師でジャーナリストの富家孝氏が言う。

「70歳を過ぎたら、まず仕事で無理しないこと。私は今年72歳ですが、講演の数は60歳ごろの半分ですよ。その一方で、週1回はキチンと休養を取り、定期的にメンテしたり、リフレッシュしています。朝晩のスクワットを15回ずつと、35~40分のウオーキングが日課。ウオーキングは平日だけで大体8000歩くらい。いわば、カラダのメンテですね。もうひとつ、頭のメンテは新聞を読むこと。毎日9紙を読んで情報を入れ、記事内容を比較することで頭を使う。自分ではコレがいい気分転換になる。仕事以外のネタが転がっていて面白いですよ」

 いずれも、“毎日続けること”がポイントか。

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