性感染症最前線

ケジラミ症<2>白いパンツに黒色点状のシミがつくと危ない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 人に寄生するシラミの一種であるケジラミが陰毛にすみ着く「ケジラミ症」。症状は吸血された陰毛の部分に生じる“かゆみ”だが、かゆみの程度は個人差が大きい。それに股間にかゆみが出る病気には、インキンタムシや陰のう湿疹などもある。ケジラミの寄生を簡単に調べる方法はないのか。性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿)の尾上泰彦院長が言う。

「性感染症の探知機として役に立つのは、真っ白なブリーフパンツをはくことです。淋病であれば尿道から黄色い膿(うみ)が出るので、パンツのシミを見れば分かります。ケジラミ症の場合は、ケジラミが排泄(はいせつ)する血糞(けっぷん)によって、パンツに黒色点状のシミがいくつも付きます。それが今はガラパンをはく人が多いので、気づきにくいのです。性感染症をもらいやすい性習慣の人は、白パンを2~3着用意しておくといいでしょう」

 ケジラミは陰毛の臭いを好み、陰毛の密林を最も快適なすみ家としている。しかし、陰毛がなければ生きられないというわけではない。肛門周囲の毛、脇毛、胸毛、太ももの短毛に寄生する場合もある。さらには、ヒゲやマユ毛、マツ毛にも寄生するとされている。

 また、最近では女性の頭髪から発見されるケースが比較的多くみられるとされ、その理由には性行為の方法が変化(フェラチオなど)したためという見方がある。女性がケジラミ症なら、クンニリングスで男性のヒゲに感染するわけだ。

 ケジラミには、このような性質があることから、尾上院長は一般的に知られる間違った自己治療法に注意を促す。

「ケジラミを退治するために、よく陰毛を剃ってしまう患者さんがいます。しかし、それは間違い。陰毛を剃ると、残ったケジラミが居心地のいい場所を求めて周囲の毛に散ってしまうのです。私はそれを『ケジラミの疎開』と呼んでいます。それよりも絶好のすみ家を残しておいて、そこを一気に奇襲攻撃した方が一網打尽にでき、効果的な治療法です」

 その治療法とは、市販薬のシラミ駆除シャンプー(スミスリンL)を使うこと。1回に3~5ミリリットルを陰毛や周囲の毛に泡立てつけて、5分後に洗い流す。

 しかし、陰毛に産み付けられた卵には効果が弱いので、孵化(ふか)する1週間前後の期間を見込んで3~4日ごとに3~4回繰り返す。もちろんパートナーと一緒に行う。

 このとき、治療効果を確認するためにも、2カ月間くらいは白パンをはき続けた方がいいという。

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