更年期を知って夫婦円満

更年期妻のイライラ緩和のために夫がやった“対策”とは?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 妻が更年期障害になった時、家族はどう接しているのでしょうか? 日頃から更年期に関する話を聞くことが多いのですが、これは、50代のRさんのエピソードです。

 最初のうちは、何げないテレビ番組の会話で妻がイライラ。少しの反論で話がふくらみ、最後には「あなたがイライラしているから、私もイライラする」とキレられ、困惑したそうです。

 取るに足らないことで口論になる夫婦の様子を見て、思春期の娘さんに「お父さんはすぐ怒るから、ケンカしないで」と言われてしまい、自己嫌悪に陥るRさん。

 元の原因は、イライラしている妻。でも、冷静に考えれば、妻は温厚な性格。この変化を疑問に思い調べてみると、妻が更年期であると判明しました。「更年期とは何か」という知識を深め、妻の怒りは更年期によって女性ホルモン、エストロゲンが減少しているからで、具体的な問題に対して怒っているわけではないと理解したのでした。

 イライラに応えればケンカになるだけ。

 では、妻を笑わせてみようと思いつき、会話中は笑いにできる部分がないか耳を傾けているそうです。

 思いやりのある娘さんは、不機嫌な母の前で明るくいようと常に努めている。時々「お母さんは理不尽。さっきと違うことを言うし、勉強しろ、しっかりしろと怒る」と嘆きを父に訴えることも。しかし、母を心配し「お父さんも仕事から早く帰ってきて」と言うそうです。

 Rさんはできる限り妻が心地よく過ごせるよう、こじれそうな会話は笑いにもっていけるようにする。さらに、妻に頼まれたことは後回しにせず行い、これをしたら助かるだろうと思う家事を、先読みしてやる習慣をつけたそうです。こうして、妻が心地よく過ごせる対応を工夫した結果、徐々に妻の様子は落ち着いてきました。

 前述のようにイライラの原因はエストロゲンの減少によるもの。不調などがひどい場合は、更年期外来がある婦人科へ相談すべきですが、夫の接し方ひとつで、妻のイライラが変わってくることは珍しくないのです。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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