考案はノーベル賞受賞者 ガボール・アイで8割が視力改善

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 いま話題の視力回復法「ガボール・アイ」をご存じか? これを日本で初めて紹介し、ガボール・アイに関する一般書も出している二本松眼科病院(東京・平井)の平松類医師に話を聞いた。

 これまで紹介されてきた視力回復法には、エビデンス(科学的根拠)があるものがひとつもない。

「本の中には『目のピント調節能力を鍛える・休ませることによって視力が上がる』というものもあります。しかし、その方法でピント調節力が変わるという研究論文もなく、その方法で視力が上がるということを示した研究結果もないのです」 エビデンスのある視力回復法はないものか? 平松医師は目に関する100以上の論文と140冊以上の医学書、120冊以上の雑誌や書籍を読んだが、国内では見つからなかった。そこで海外の文献に手を広げた。目に留まったのが、ガボール変換という数学的な処理で生まれる特殊な縞模様「ガボール・パッチ」(写真)だ。

「これを用いると、視力が回復するというのです。ホログラフィーの発明でノーベル物理学賞を受賞したデニス・ガボール博士が考案し、カリフォルニア大学などの研究機関で効果を実証されているという。初めて見つけたエビデンスがある視力回復法でした。ただ、半信半疑な面もあったのです。そこで、当時勤務していた病院の職員40人にガボール・パッチを使ってもらったのです」

 すると、8割の人が視力改善し、平均して視力0.2程度上昇した。これは論文の内容と同じであり、平松医師はガボール・パッチを使った視力回復法を「ガボール・アイ」と名付け、患者にも勧めるようになった。

 ガボール・アイは、脳の視覚部を刺激して視力回復を試みる方法だ。ガボール・パッチがたくさん並んでいる絵の中から、好きな縞模様を選ぶ。そして、その縞模様と同じものを全部探し出す。この作業を繰り返す。

「近視や老眼があると、ボケた画像しか見えておらず、それを脳がくっきりした状態になるように補正してくれます。ガボール・アイによって、脳の視覚部を強く刺激し、ボケた画像をくっきりしたものに補正する脳の力を鍛えるのです」

 前出のカリフォルニア大学で行われた研究では、同大学の学生16人と、大学の近隣に住む65歳以上の16人、計32人を対象に、縞模様を繰り返し1週間見てもらった。すると、大学生も65歳以上も、視力が向上した。

「1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!」
「1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!」(平松類 著/SBクリエイティブ刊から)
目の疲れがなくなった、免許更新でメガネを免れた…など

 また、アメリカのカンザス大学で行われた研究では、年齢を問わず全員の視力が向上。近視の人は平均視力0.4から0.6に、老眼の人は平均視力0.3から0.6になった。2017年には、ニューヨーク・タイムズに「脳を鍛えることで老眼も近視も視力が向上する」という記事が掲載されたという。

「平均視力0.2~0.3向上というのは、わずかな変化に思うかもしれません。しかし、『老眼で新聞を読むのがつらかったが、楽になった』『0.2視力向上のおかげで、免許の更新でメガネを免れた』『目の疲れがなくなった』といった声が上がっており、わずかな変化でも、生活の質の改善に大きく作用すると実感しています」

 そもそも薬や手術でもないのに、劇的に視力向上というのはおかしい。0.2程度というのが、理にかなっているのかもしれない。

 目安は2週間。「ガボール・アイ」または「ガボール・パッチ」で検索すると、関連本が見つかるのでそれを使うといい。ただし、「白黒の縞模様・背景」のものを選ぶこと。エビデンスがあるのはこれのみだ。また、効かない人がいることもお忘れなく。

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