病気を近づけない体のメンテナンス

【足】足裏にタコやウオノメが…それは膝・腰痛のシグナル

写真はイメージ
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 体の全体重を支えている足裏。タコやウオノメができるようなら、足裏に加わる荷重がうまく分散されていないと思った方がいい。それは足の環境や動きが悪く、他の関節にも過度の負荷がかかる証しであり、膝痛、腰痛、股関節痛などの不調を起こしやすいシグナルでもある。

 タコやウオノメは、なぜできるのか。フットケアに詳しい「埼玉県済生会川口総合病院・皮膚科」(川口市)の高山かおる主任部長が言う。

「皮膚は特定の場所に圧迫などの刺激が常に加わっていると、その刺激から守ろうとして表皮の一番外側にある角質層が増殖して厚く、硬くなります。タコやウオノメができるのは、その部分に荷重が集中しているからです。原因は、靴が合ってない、靴の履き方が悪い、足の関節変形があったり、ガニ股や歩き方が悪かったりとさまざまです」

 タコは黄色みを帯びて厚く硬くなって盛り上がり、歩いても痛みは少ない。一方、ウオノメは中心に魚の目のような硬い芯ができて、歩くと激しい痛みを伴う。この違いは足裏のできる場所が関係している。

 タコは下に骨のある場所にできる角質の増殖。骨があるので、盛り上がるように増殖する。ウオノメは下に骨のない場所にできる。骨がないので増殖した角質が硬いクサビ状の芯となって、表皮の下の真皮に向かって食い込んでいく。その芯が神経を圧迫して強い痛みが生じるのだ。

 ウオノメは痛いので、市販のコーンカッターやヘラ型ヤスリなどで増殖した角質を削る人もいるが、注意が必要だ。

「自分で削るのもいいですが、もともと皮膚を守るために角質が厚くなっているので、削り過ぎても痛みが出ます。また、一時的に削っても原因が解決されなければ元に戻ります。それよりも、まずはシューフィッターに自分に合った靴を選んでもらう方がいい。適切な靴に替えただけでウオノメやタコが治る人も少なくありません」

 シューフィッターとは、足に関する基礎知識と靴合わせの技能を習得し、足の病気予防の観点から適正な靴を提案する専門家のことだ。「足と靴と健康協議会」が養成しており、ホームページからシューフィッターの在籍する最寄りの靴屋を検索することができる。靴選びだけではなく、足の負担の少ない正しい靴の履き方なども指導してくれるという。

 靴の見直しと同時に、足関節のストレッチを習慣にするといい。足関節は年を取るほど硬くなり、特にガニ股の人は柔軟性が悪いという。

「足関節のストレッチは椅子に座り、片足をくの字にして太ももの上に乗せ、足指に手の指を交互に組みます。そして、足首を上下に反らしたり、足首を回転させる。さらに足指の根元の関節を上下に反らします。これをアキレス腱伸ばしとセットで、1日に朝晩の2回やるといいでしょう。また椅子に座り、ゴルフボールを足裏でゴロゴロさせ、足指だけでボールを持ち上げることもストレッチ運動になります」

 かかとの角質が厚くなり、ガサガサに荒れたり、ひび割れたりするのもよくあるトラブルだ。かかとの角質が厚くなる理由もタコやウオノメと同じ。かかとは立った状態では体重の70%がかかるので、常に圧迫されている。さらにサイズの合っていない靴を履いていると摩擦が発生して、その刺激で硬くなったり、割れやすくなる。

■風呂上がりに保湿クリームを塗る

 乾燥しているのも原因のひとつ。体の他の皮膚の部分は皮脂腺があり、皮脂と汗の混じり合った天然の保湿剤が水分の蒸発を防いでいる。ところが足裏には皮脂腺がない。裸足になると足裏がベタベタするのは汗のせいで、脂がないので汗だけで保湿することになり、汗のかかない環境では乾燥してしまう。硬くなったかかとを軽石などでこする人がいるが、やり過ぎると傷つけるので勧めないという。

「かかとの荒れのケアの基本は、お風呂上がりに保湿クリームを塗ることです。保湿剤は主に、血行を良くして皮膚を柔らかくする作用のある『ビタミンE配合』と、角質を柔らかくする作用のある『尿素配合』があります。尿素は刺激があるので、ひび割れているかかとでは痛みがあることがあります。毎日、保湿剤を塗って1カ月しても良くならなければ、角質増殖型の水虫の可能性があるので皮膚科を受診してください」

 特に糖尿病の人は合併症の末梢神経障害で足の傷に気づきにくく、潰瘍や壊疽になりやすいので要注意。1日1度は足を観察し、傷ができたらすぐに主治医に診てもらうこと。出血を発見しやすいように日頃から白い靴下をはいているといいという。

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