「これまで痛くなかったのに……」
中高年になると性交痛を感じる女性がぐっと増えます。なぜなら、女性ホルモンが減少して粘膜の潤いが不足し、濡れにくくなるから。しかし、性について口にするのは恥ずかしいとの潜在意識があり、夫やパートナーになかなか言えません。
気乗りしないのにセックスに応じる女性がどれくらいいるか、想像したことはありますか? 日本性科学会のセクシュアリティ研究会が有配偶者863人を対象にして行った調査では、「よくある」「時々ある」「まれにある」を合わせると、8割にも上りました。そして理由のトップ2は、「相手が喜ぶから」「妻の役割だから」。つまり、多少痛くても相手が喜ぶのでセックスに応じてしまう女性が少なからずいるのです。
気乗りしないセックスが続くと、次第に不満が募り、最終的には「セックスの拒否」に至ります。男性からすると突然の拒否かもしれませんが、サインはずっとあったはず。「痛そうな顔をしている」「楽しめていなさそう」などです。男性には、そのサインをぜひ見逃さないでほしい。あるいは、思い切ってセックスの痛みがあるか質問してみるのもいい。自分から痛いことを言いだせない人も、イエスやノーなら答えられるかもしれません。セックスを拒否されると傷つき、男女問わず寂しい気分になります。勇気を奮って、質問してみてください。
潤い不足の性交痛であれば、工夫次第で解消できる可能性があります。まずは前戯。男性はしっかり時間をかけているつもりでも、同研究会の調査では5~20分が64%。意識して時間をかけるのがポイントです。
次に体位。女性が自分で痛みのコントロールをできる騎乗位がお勧めです。慣れない女性は動きがぎこちないかもしれませんが、ゆっくり見守ってみてください。
さらに、潤滑剤やゼリー付きのコンドームを活用する手もあります。
ただし、性交時の痛みは、子宮内膜症やがんなどが原因の場合も。痛みに関して詳しく聞くことは、病気の早期発見にもつながるでしょう。
セックスが痛い