緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

コロナ感染の新たな予兆か 全身に水疱瘡やしもやけ症状が

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症と血栓との関係が注目されている。世界中の新型コロナウイルス感染症の患者から血栓が報告されているからだ。

 米国ニューヨーク州では新型コロナウイルスに感染した30~40代の患者が脳梗塞を併発する例が増えているという。米マウントサイナイ病院で診察した5人はいずれも50歳未満で新型コロナ感染症の症状は軽くて無症状だったという。この病院では1年の間に、大きな血管の脳梗塞で送られてきた50歳未満の患者は2週間で0・73人ベースだった。それがこの2週間で7倍に増えたという。CNNが報じた。

 欧州の研究者がオランダの2つの大学病院などの集中治療室に入院している新型コロナウイルス感染症の患者184人を調べたところ、多くが血栓症を合併し、脳卒中まで至った例が多数あったと報告している。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「重症の新型コロナ肺炎による死亡の原因は、新型コロナウイルス感染症に誘発された播種性血管内凝固症候群(DIC)によるものであるとのイタリアの研究者からの報告もあるそうです。新型コロナウイルスが血管の中で血液を凝固させている可能性は高まっています。新型コロナ肺炎の重症例は急速に悪化して死亡し、心臓病や脳卒中や多臓器不全例も多いといわれています。仮にDICによる血栓塞栓症が原因であれば、そうした理由の説明も可能です」

 DICとは、血管内に無数の血栓がばらまかれた、凝固の反応が高ぶった状態の病気を指す。

 糖尿病や心臓病などの基礎疾患がある人や脳卒中を経験した人が新型コロナウイルス感染症にかかると重症化しやすいことがわかっている。中国の病院のデータでは、集中治療室に入院した患者の実に16・7%が脳卒中経験者だったという。

「世界的権威のある医学雑誌『ランセット』によると、調査した新型コロナウイルス感染者全体のうち42%、死亡者のうち81%の人の血液で、『血栓』ができると増えるDダイマーが多くなっていたことが確認されているのです」

 Dダイマーとは血管の中で血液が固まって血栓ができると、そこから発生する物質のこと。静脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)やDICなどで増加することが知られている。

 血栓ができるのは重症の患者だけに限らない。

「イタリアやベルギー、クウェートなどから、病状とは無関係に新型コロナウイルス感染症の患者に水疱瘡やしもやけのような皮膚症状が表れていることが報告されています。血管の炎症による血栓がもたらしたもの、とみられています。これは臭覚や味覚の喪失に続く新たな予兆・痕跡として注目されています」

 血栓はウイルスの体内侵入に対する過度な免疫反応が引き起こす炎症が原因なのか? 新型コロナウイルス特有の新たな仕組みなのか? あるいは新型コロナウイルスと構造が似ているとされる、HIVウイルスと同じで血液凝固因子の増加や抗血液凝固因子の減少が関係するのか、ハッキリしない。また、新型コロナウイルス感染症の治療に抗血栓薬を使うことについても逆にウイルスの細胞への感染を早めることになるのでは、との意見もあり、いまは明確になっていないという。

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