病の克服は患者に聞け

新型コロナ<2>CT費用含め4万円…でも感染がはっきりしてよかった

渡辺一誠さん
渡辺一誠さん(提供写真)

 3月22日から4日間、39・5度の高熱を繰り返した渡辺一誠さん(40=東京・港区在)は、前日に続いて区内の保健所に2度目の連絡をした。

「昨日と違って詳しい症状を述べた後、こうも付け加えました。高熱を体感してから接触をした友人たちもいるし、今晩、外出をしたいので、どうしても検査をしてほしいと、真摯に訴えたのです」

 保健所から「検査のできる病院をすぐに探しましょう。連絡先を教えてください」と返答があり、20分後に再度「今から2時間後、紹介する病院に行けますか?」という確認の電話が入った。渡辺さんがOKの返事をすると、保健所との間でこんなやりとりが交わされたという。

「注意点があります。検査にはCTも含まれますので、4万円ぐらいという高額の請求になります。それでもいいですか?」「ハイ」「もし検査の結果が陽性だった場合、そのまま2週間程度の入院治療になりますが、それでもいいですか?」「ハイ」

 紹介された病院にタクシーで向かった。果たして陽性か、それとも陰性なのか。

 玄関先の受付で、「(感染拡大防止のため)タクシーには乗らないでいただきたいのです!」と、注意の言葉を背中に受け、看護師の案内で第1次検査室に入った。

 部屋は透明のベールに守られたシートの中で、PCRの検査。続いて、CTの検査を指示された。

■個室で10日間の隔離生活がスタート

 CT検査を受けるまで少し時間がある。看護師に一時帰宅の了解を得ると、「結果が陽性なら帰宅はできません。着替えなど、多少の荷物を持ってきてくださいね」と言われた。病院の受付で「タクシーに乗らないで」の忠告を思い出し、少し頑張りながら歩いて帰宅した。

 多少の荷物をと言われても、いつ退院できるか分からない。

 キャリーバッグに詰め込む荷物が自然と増えて、再び病院に向かった。待合室で、診察を待つこと約15分。

「渡辺さ~んと呼ばれて診察室に入ると、医師から『陽性』ですと告知されました。看護師さんからすぐ病室に案内されました」

 廊下を歩きながら、“やっぱり! 仕事などいろいろ困るな”と思いましたが、「でも、コロナ感染がはっきりしてよかったなと考え直しました」。

 病室は個室。「入院費用は無料です」と説明を受けて、少し安心したという。 

 看護師は、「あとで保健所の方から連絡がありますので対応してください」と言い残し、部屋から消えた。以後、10日間に及ぶ渡辺さんの入院生活が始まった。

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