コロナ禍での熱中症対策

熱中症が増えるピークは「5月、梅雨明け、盛夏」の3つ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「熱中症が増える時期は、例年3つあって、最初は5月の、暑さ慣れしてないのに急に暑くなった時期。次が梅雨明け直後。そして最後が8月中旬の、一番暑い盛夏です。今年はマスクを着けて過ごすという、前例のない夏となりますので、どれだけ熱中症による死亡者が増えるか、予測のしようもありません」

 こう話すのは、帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長で同大学医学部救急医学講座の三宅康史教授だ。環境省「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員長も務める三宅教授に、熱中症の予防法について聞いた。

「熱中症予防に一番大切なのは、こまめな水分補給。一番いいのは水や麦茶で、コーヒーや緑茶、ビールは利尿作用があるので水分補給の面ではマイナスです。とはいえ、これらの飲み過ぎで死んだという人はいませんし、ビールはストレス解消にも役立ちますから、我慢してよく眠れないくらいなら適度に飲むのもいいでしょう。アルコールやコーヒーはほどほどに飲む人のほうが長生きするというデータもあります」 

 そして水分も栄養も取れるのでお勧めなのは、夏の野菜や果物。特に、キュウリ、トマト、スイカなどは、塩をつけて食べると汗で失われた塩分の補給にも役立ち、熱中症予防にも効果的だ。

「外出自粛やリモートワークが続いたこの夏は、暑さに徐々に体が慣れる暑熱順化ができておらず、熱中症にかかる人が多くなることも予想されます。自然な暑熱順化を促すためにも、日差しが強くない朝や夕方に、ウオーキングや散歩などをするのは効果的ですね。ただし、いまはジョギングもマスクを着けてしなければならない、となっているので、ジョギングする場合には、マスクで熱がこもることによる体温の上昇には気をつけましょう。周囲に人がいない場所なら、時々マスクを外して新鮮な空気を肺に入れるのもいいでしょう」

 屋外で運動をする場合は、今年は暑熱順化ができてないことも念頭において、例年よりも時間や走る距離を少なくしたり、休憩を多くする、水分補給をよりこまめにするなどの対策も必要だ。正しい知識と正確な対応で、コロナ禍という100年に一度のパンデミックに見舞われた今年の夏も、熱中症に負けることなく乗り切りたい。(おわり)

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