病気を近づけない体のメンテナンス

目<下>目の血流改善を行うための「4つのメソッド」

写真はイメージ
写真はイメージ

 人間が外部から入手している情報の約8割は、「目(視覚)」から入るといわれている。

 目の機能が低下すると、それだけ日常生活の影響は大きい。特に、近視や老視で視力が低下してくると、「そろそろ眼鏡やコンタクトレンズで矯正するか」「度数を強くするか」と安易に考えがちだ。しかし、その前に「自力で視力を回復させる」ことを試してみた方がいい。

「ほんべクリニック眼科・統合医療科」(愛知県名古屋市)の本部千博院長が言う。

「眼鏡やコンタクトレンズは、決して近視を“治す”ものではありません。一度使うと、一生使い続けることになる上、使ううちにどんどん視力が下がって、度数も上げていくことになります。しかし、程度によっては視力は自分で回復させることが可能です。視力が下がったと気づいた時点で、視力回復のメソッドを実践したり、生活習慣や環境を改善することで、視力が回復したり、眼鏡やコンタクトレンズが不要になることもあるのです」

 強度の近視に進むのを防ぐ方法として、本部院長が推奨するのは「裸眼のすすめ」。眼鏡やコンタクトレンズをつくったとしても、将来的に外すことを視野に入れて、「必要なときに使って、調子がいいときは外す」という使い方を勧めている。

 そして、視力回復メソッドは、「目の病気も全身で診る」ことが基本になる。それは近視をはじめとする目のトラブルには「血流不足」という全身の問題が大きく関係しているからだ。血流が悪くなると、目に酸素や栄養が届かなくなり、視力も低下し、目の病気になりやすくなるという。

 いつでも簡単にできる、目の血流をよくして視力を改善させる4つのメソッドを紹介する。

■パーミング

 パソコンを長時間見続けたりすると、目の筋肉が緊張して、目や目の周りが血行不良になる。それを改善させるには、目を温めるのが一番。やり方はこうだ。

①左右の手のひらを10回ほどこすり合わせて、よく温める。

②温まった手のひらで左右のまぶたを覆う。目を開けたまま、視線を上下左右に動かしたり、グルッと回転させたりする。

 これを15秒ほど続ける。

「目が疲れたときに、目に冷たいタオルなどを当てて冷やす人がいますが、それは逆効果です。入浴中に40度くらいのお湯で濡らしたタオルを目の上にのせて、眼球を上下左右、斜め上下と、いろいろな方向にグルグル動かすことも習慣にするといいでしょう」

■アイマッサージ

 目の疲れやドライアイの解消、心身のリラックス効果も期待できる。

①眼球の上の骨のキワを、目頭から目尻までを8カ所(5ミリ間隔ほど)に分けて、親指の腹で押し上げるように3回ずつプッシュしていく。

②次に、眼球の下の骨のキワを、目頭から目尻までを8カ所に分けて、人さし指の腹で3回ずつプッシュしていく。

③最後に、眉毛の上のラインを、眉頭から眉尻までを8カ所に分けて、親指の腹で3回ずつプッシュする。

■視力改善ストレッチ

 硬直した首の筋肉をほぐし、頚椎が正しい位置にリセットされると、首から目、脳へと続く血流が良くなる。

①まっすぐ正面を見て、背筋を伸ばした姿勢にする。椅子に座っても、立っていてもいい。

②鼻から息を吐きながらゆっくりと首を右にひねり、顔と目をできるだけ右に向ける。できるだけひねったら鼻から息を吐きながら①の姿勢に戻る。

③首を左にひねり、顔と目を左に向ける動作を②のように行う。

④鼻から息を吐きながら顔と目をできるだけ下に向ける。その状態から、肩の位置はそのままで、鼻から息を吸いながら、顔と目をできるだけ上に向ける。鼻から息を吐きながら①に戻る。

⑤息を吸い、その後、息を吐きながら首を大きく右回りに回す。このとき、目も右回りに大きく回す。これを3回繰り返す。

⑥首と目を左回りに大きく回す動作を、⑤のように3回繰り返す。

■指もみ

 手のツボには人間の全身が投影されて、中指の第1関節の上、指の腹が顔にあたる。目にあたる部分(中指の先端近く)をプッシュすると目の血流が良くなる。左手の中指は左目に、右手の中指は右目に対応する。

「これらを毎日すべて行うのが理想ですが、時間がなければどれか1つだけでもかまいません。仕事の合間に少しずつでもやってみてください」

関連記事