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感染封じ込め成功国からの帰国<3>レストランでの食事はNG

「朝食プラン」はドアノブにかかった「弁当」/
「朝食プラン」はドアノブにかかった「弁当」/(提供写真)

 台湾からの帰国直前に成田駅近くのAホテルを予約していた社会福祉団体職員の古川亮一さん(仮名=40)は、8月12日夕方、チェックインした。厚労省や外務省の要請で帰国直後、2週間のホテル滞在を余儀なくされたからである。

 ホテルの受付カウンターで、<新型コロナウイルス感染拡大防止に関するお客様への特別対応につきまして>と書かれた用紙を渡され、各項目のチェックと、署名を求められた。

 第1項目は、<PCR検査につきまして>とある。こう書かれていた。
<帰国時にPCR検査を受け、陰性の結果が出ました。またはPCR検査が不要の国からの入国です>

 古川さんは、この項目にYESのチェックを入れた。

「実際、成田で受けたPCR検査の結果は陰性でしたし、出国時、PCR検査が不要だった台湾からの入国でしたから」

 続く項目は、ホテルに隔離と言わないまでも、かなり窮屈な滞在条項が強いられていた。
<ご滞在中は、客室清掃をご遠慮させていただきます><毎朝、お部屋のドアの前に、新しいリネン類や客室備品のセットを置かせていただきます><ご使用済のリネン類や、お部屋で発生したゴミは、それぞれ指定の袋に入れて口を閉じ、お部屋の前に置いてください>……。

 食事にもうるさい。
<当ホテルの併設レストランでのお食事はお控えください>、最後に<滞在中の外出は極力お控えください>。

 ほかにも、<2Fの浴場のご利用はご遠慮ください><コインランドリーは10:00~15:00までとして、ご利用とご利用前にフロントにご連絡くださいませ>。

 古川さんは、12項目に全てYESとチェックを入れて、署名した。宿泊代の支払いは前金制で、朝食抜きのシングルルーム15日間。現金で8万5300円を支払う。

「台湾にいたとき、日本の外務省に直接電話をして説明を受けたとき、『隔離を前提にして』と言われました。まあ、刑務所のような雰囲気でもありませんけど、少し似ているかもしれません」

■帰国したら日本食を食べまくるつもりだったが…

 部屋が狭く、ベッドが1つと机だけである。ゆったりとする身の置き場がなかった。

 数年ぶりの日本である。ホテルの周辺だけでも散策し、日本の空気を思い切り吸いたかった。しかし、ホテルスタッフの目が気になる。日本滞在初日は、ベッドに横になり、スマホをいじくって時間をつぶした。

 翌日、熟睡したようで昼に近い時間に起床する。空腹を覚えたが、ホテルのレストランは利用不可である。

 朝食プランを申し込んだ客は、入り口のドアノブに、ビニール袋に入った朝食弁当(6:30~9:15)が配達されていた。

 素泊まりプランの古川さんは、カウンターでコンビニかスーパーマーケットの場所を訪ねてホテルを出た。

 歩いて数分のところにコンビニがあり、2、3袋のせんべいと「お持ち帰りカレー弁当」を購入する。

 独身の古川さんは、1日3食とも外食である。菜食主義者だが、台湾は油を利用した料理が多い。とくにテーブルを囲んで知人や友人と食事をするときは閉口した。

「日本に帰ったら、日本食を食いまくろうと思っていましたよ。でもホテルの隔離で、日本で最初に食べた食事が、コンビニ弁当でした」

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