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ガムをよく噛んでいる人は新型コロナにかかりにくい?

歯科医師の柴原孝彦氏
歯科医師の柴原孝彦氏(提供写真)

 コロナウイルスは唾液にも含まれます。そのため、歯磨きやうがいなどの口腔ケアを勧めていますが、一方で、唾液の中には、ウイルスや細菌を侵入させない粘膜免疫「免疫グロブリンIgA抗体」が含まれています。そのため、口腔ケアと同時に新しい唾液を促すこともまた新型コロナウイルスの感染予防にも有効ではないかといわれています。

 唾液には、傷の治りを良くしたり、ウイルスに対して戦うような働きがあります。

 歯周病菌などを持っているとウイルスを体内に侵入させやすくしてしまいますが、口腔内が清潔で新しい唾液をたくさん分泌していれば、とても有効なんですね。

 唾液を分泌させるには、キシリトールガムを噛むことが手っ取り早いといえます。

 噛むことが習慣になっている人は、常に十分な量の新しい唾液が出てきます。

 ほかに顎の開閉運動も唾液の分泌を促します。たとえば食事をするとき、1口30回噛むのも有効です。そして、もっともお勧めしたいのが、唾液を出すマッサージです。

 それが、耳の前にある「耳下腺」という逆三角形のおむすび形をした唾液腺と、顎の下にはクルミ大くらいの左右対称にある「顎下腺」です。

 これらの腺を刺激すると唾液がたくさん分泌されますので、この機会に覚えましょう。

 耳下腺のマッサージは、手のひらを耳の前から前方(顎方向)に向かって押し出します。

 顎下腺においては、手のひらを顎の左右の角から手前(顎先)に動かすのです。いずれも、何度か繰り返してください。唾液がたくさん出てきますよ。

▽柴原孝彦(しばはら・たかひこ) 1979年東京歯科大学卒業。93年ドイツ・ハノーバー医科大学に留学(客員講師)、2012年からは東京歯科大学口腔がんセンター長を務める。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors ―名医のいる相談室―」では、「口腔ケアによるコロナ予防」をテーマに解説します。

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