8月後半から新学年が始まったアメリカ各地の大学では、開講直後から新型コロナウイルスのクラスターが発生し、大きな問題になっています。
サウスカロライナ大学では学生の1000人以上が感染。8月28日から31日の間に検査した人のおよそ28%が陽性だったと公表しました。約3万人の学生を抱える同大学では、6つの学生サークルによるパーティーが感染拡大の原因とし、関係した学生を停学処分にすると同時に、検査のさらなる拡充と消毒を行うとしています。
こうした感染は全米37州に広がっており、ニューヨーク・タイムズは「750の大学でこれまでに2万6000人が感染、64人が死亡」と報道しました。
そのうちアラバマ大学では先月19日の開講以来、学生と教授含め1300人が感染、ノースカロライナ大学は800人台、セントラル・フロリダ大学は700人台と増えています。
しかし多くの大学ではプライバシーを理由に正式な数字を公表していません。アラバマ大学の教授らが情報を公開しないよう警告を受けたと、ワシントン・ポストは報道しています。現状、こうした情報公開について国はガイドラインを定めていません。つまり、今後も全体数の把握は難しいということになります。
感染者が600万人を超えたアメリカで、トランプ政権は引き続き新型コロナの影響を低く見積もり、経済再開と同時に大学の早い再開を奨励してきました。CDC(米疾病対策センター)は「感染者と接触しても無症状者は検査の必要なし」とガイドラインを変更。トランプ氏は公共の場所でマスクを着用せず、こうした政府の方針が学生たちにも影響していると考えられています。
こうした状況で、CDCは11月1日から全米で新型コロナワクチンの接種を開始すると発表。大統領選投票日の2日前ということで、「安全性を無視したトランプ氏の政治的パフォーマンス」との批判も高まっています。
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