人生100年時代の歩き方

免疫の専門家も太鼓判 withコロナを乗り切る“冷えとり3選”

寒ければ肩まで漬かってもOK
寒ければ肩まで漬かってもOK(C)PIXTA

 この冬は、新型コロナウイルスとインフルエンザ、さらに風邪のトリプルパンチが恐れられている。新型コロナもインフルエンザも、初期症状が軽く、「風邪かな」と思えてしまうケースが少なくないから厄介だろう。

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「新型コロナについてはワクチンも特効薬もありませんが、体に備わった免疫がしっかりしている人は、軽症で済むのが明らかになっています。中でも、体に侵入したウイルスや細菌をいち早く排除する働きを持つ自然免疫が重要です。トリプルパンチを防ぐのは、自然免疫の力を下げず、いかに高いレベルをキープするか。これに尽きるでしょう」

 こう言うのは、東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏(感染免疫学)だ。免疫には、自然免疫と獲得免疫があり、獲得免疫は病原体を特異的に見分けて記憶することで再び体に侵入してきたときに排除する役割を担っている。自然免疫はあらゆる病原体の“初期消火”を担当し、新型コロナではこちらが重要だという。では、自然免疫の力を高めるには、どうするか。

■始めて3ヶ月で白髪が減った

「手っ取り早いのは、体の冷えを解消することです。体温を1度上げると、自然免疫を担当する細胞の活性は3~5倍にもアップしますから」(藤田氏)

 体温アップの方法といえば、入浴だろう。進藤幸恵氏は、医師である父義晴氏が提唱した「冷えとり健康法」を受け継いで、冷えとりアドバイザーとして「子すずめ・くらぶ」を主宰。講演会や勉強会などで全国を巡る。進藤氏が言う。

「父の話を聞いたとき、最初は半信半疑でした。冷えを解消しただけで、体調がよくなるのだろうかと。でも、冷えとりを続けると、体調がよくなったのです。20~30年、風邪もインフルエンザも病気らしい病気にかかったことがありません。それで周りの方にすすめると、続けられた方はやっぱり感染症とは無縁で、さらには頭痛や生理痛が軽くなったという声をたくさんいただくのです。ホント、いいことずくめですよ」

 進藤氏の冷えとり法を2月から続けている40代の男性もこう言う。

「妻が婦人科系の不調で始めたところよくなり、冷えの自覚はありませんでしたが、ものは試しでやってみたのです。実感しているうれしい効果は3つあります。1つは、白髪が減って毛髪に張りが出たこと。3カ月ほどで妻に『白髪が減ったわね』と言われ、鏡で見ると、白かった部分が黒くなっていました。もう1つは減量で、体重が3キロ落ちて今もキープできています。3つ目が、熟睡できるようになったことです。冷えとりをやる前は寝起きに熟睡感がなくて目の周りが重かった。それが今は、『寝たな』と思って目を開けたら朝なのです。それくらいグッスリで、寝起きの重だるさがありません。そういえば、毎年秋口のこの時季に軽い風邪をひきますが、今年はひいていませんね」

 この3つは、中高年にとってはどれも気になること。個人の主観的な感想とはいえ、それをまとめて解消できたのはうれしいだろう。進藤氏も続ける。

「冷えとりの継続で、薄毛が解消する方は決して珍しくありません。減量に成功する人も、いっぱいいらっしゃいます。睡眠が改善するのも、典型的です」

 進藤氏はこれまでの経験をもとに「免疫力が高まるシンプルな暮らし」(徳間書店)を上梓。前出の男性は、そのノウハウを生活に取り入れたのだ。「今は、社内で冷房にさらされ続けると、足先が冷える感覚が分かるようになりました。だから余計に冷えとりの大切さを実感しています」と笑う。では、どうやって冷えを解消するのか。進藤氏に聞いた。

「大切な臓器が集まる上半身の温度は36度前後ですが、下半身は31度前後です。この温度差によって、血液循環が妨げられやすい。そこで、冷えを解消するには、下半身を温めて、上半身との温度差をなるべく小さくすることが大切なのです」

 そのために必要なことが3つ。半身浴と湯たんぽ、靴下の重ねばきだという。

「半身浴はみぞおちまで漬かる深さの入浴で、両腕は湯船から出します。お湯の温度は、上半身の体温プラス1、2度。体温が36度なら38度です。これからの時季、『その温度では寒い』という方は最初、肩までしっかり漬かっても構いません。外気温との兼ね合いで漬かり方は臨機応変で。でも、20分以上の入浴は守ってください」

 前出の男性は、浴槽のフタにバスタオルを敷いて単行本やタブレットを持ち込んでいるそうだ。「20分はあっという間で半身浴でも頭から汗が出ます」という。家族との入浴時間の調整で、リビングにホワイトボードを設置。旅館の貸し切り風呂の予約表みたいに、そこにそれぞれの希望入浴時刻を書き込んで、バッティングを防いでいるのは、ナイスアイデアといえる。

湯たんぽは会社に常備しておこう
湯たんぽは会社に常備しておこう(C)日刊ゲンダイ
仕事中も湯たんぽで足を温める

 冷えとりライフは、生活の随所に取り入れないと、温かさをキープできない。そのための工夫が湯たんぽと靴下の重ねばきだ。

「湯たんぽは、寒い時季だけでなく、一年を通して使うのが肝心です。寝るときはもちろん、職場でも。とにかく頭寒足熱の状態をつくるのです。靴下は4足重ねばきをお勧めしています。絹の5本指靴下を履いたら、綿の5本指を。次に絹の先丸靴下で、最後に綿の先丸靴下です。4足が無理な方も、絹の5本指と手持ちの靴下による2枚重ねをするといいでしょう」

 前出の男性は、就寝時の湯たんぽが熱くて使っていないが、靴下の2枚重ねで寝ているそうだ。「入浴後の足の温かさが持続するので、熟睡をもたらしているのは、靴下の影響も大きい」と振り返っている。会社でも仕事中に湯たんぽを使用。床に湯たんぽを置いて、靴を脱いだ足を乗せているという。

「デスクワーク中のふくらはぎのむくみがなくなりました」

 ちなみに夏は、足だけタオルケットなどをかけて湯たんぽを使用する。上半身はタンクトップなど涼しくして、扇風機や冷房を使用してもOKだという。

 さらに運動したり、食事を工夫したりすれば、もっと体は温まる。あれもこれもやるのは大変だから、毎日の入浴を有効活用し、手軽な湯たんぽで冷えとりをプラスするのだ。実は、藤田氏も「半身浴でゆっくり入浴することを続けている」という。免疫の専門家が太鼓判を押す冷えとり生活。中高年が気になる不調も解消してくれるのだから、きょうから始めよう。

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