新型コロナ死亡率めぐる明暗のナゼ…腎臓・心臓はアウト

新型コロナウイルスによる肺炎患者は回復して退院
新型コロナウイルスによる肺炎患者は回復して退院(C)新華社/共同通信イメージズ

 新型コロナウイルスで死亡しやすいのは腎機能障害と心疾患――。こんな研究結果が国立国際医療研究センターによって発表された。

 新型コロナの入院患者約6000人のデータを解析。持病のある人の死亡率のワーストは腎臓機能障害の44%で、このほか心疾患(40・5%)、脳血管障害(39・5%)、肝疾患(25・6%)という数字だった。

 これに比べて死亡率が低かったのが肥満(9・6%)と高脂血症(16・1%)だ。

 新型コロナについては初期の段階から、肥満の患者が重症化しやすいと指摘されていたが、死亡率は低かったわけだ。なぜこうした結果になったのか。

「腎臓や心臓などは人間の生存に重大な役割を担っている臓器だから、死亡率が高まるのです」とはハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)だ。

「こうした臓器が持病によって過去にダメージを受けていると、ウイルスの侵入によって炎症が起こり、生命の維持ができないほど機能が低下して死亡に至ることがあります。志村けんさんが亡くなったのはお酒の飲み過ぎなどで肝臓と肺の機能が弱まっていたからでしょう。肥満や高脂血症の人は糖尿病予備群や動脈硬化で臓器の機能低下を促進して重症化したと考えられます。ただ、他の臓器と違って生命に直結していないため死亡に至る可能性が低いのでしょう」

 意外なのが脳血管障害の死亡率が高いこと。新型コロナというと、内臓を攻撃するイメージがあるが、実は脳も“攻撃対象”だ。新型コロナに限らず、ウイルスは「血行性」といって、血管を通じて全身に広がる。

「人間の脳は『血液脳関門』といって、血中にある不要な物質が脳内に入らないよう排除する働きがあります。ところが過去に脳梗塞や脳出血、脳動脈瘤破裂などを起こして、このバリアー機能に綻びを生じている人はウイルスを通してしまい、脳に炎症を起こしがちなのです。健康診断で脳や腎臓、心臓などの臓器に『C』『D』『E』の判定を受けている人は特に注意が必要です」(左門新氏)

 手指の消毒とマスク着用をさぼってはならない。

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