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白目の血管が切れて真っ赤に…深刻な病気でしょうか?

獨協医科大学 眼科学教室教授の妹尾正氏
獨協医科大学 眼科学教室教授の妹尾正氏(提供写真)

 鏡を見たら白目が赤く染まっていた――。痛みやかゆみといった自覚症状がなくても、白目の血管が切れていることがある。病気の可能性はあるのか。

 白目が急に真っ赤になる症状は、「結膜下出血」と呼ばれます。結膜下の小さい血管が破れて、白目部分が血で赤くなるのです。目の病気で起こるものには結膜炎があり、痛みや目やになどの症状を伴います。

 ウイルス性や細菌性など種類はさまざま。最近では新型コロナウイルスによる結膜炎も起こると考えられています。

 基礎疾患が原因で起こる場合もあります。高血圧で血圧が上がったタイミングや糖尿病による血管障害で血管が切れやすくなっているケースです。白血病の患者さんも出血しやすくなります。繰り返し白目が赤くなる場合は基礎疾患があるかもしれないため、内科の検査を受けることをおすすめします。

 また、過去に心筋梗塞や脳梗塞を患って、血液をサラサラにする薬(抗血小板剤、抗凝固剤)を服用している人も、結膜下出血のリスクがあります。

 基礎疾患がないのに結膜下出血がある場合、問診していると疲労のピーク時に起こっていることが分かります。家族の介護で睡眠不足だったり、深夜遅くまで働いていたりする。不規則な生活を繰り返すと出血しやすくなるのです。

 治療法は特にありません。大半は放置しても問題はなく、1週間から長くても2週間程度で元に戻ります。これによって、視力が下がったり、失明の心配もありません。

 ただ、基礎疾患がないにもかかわらず長期間続いたり、何度も繰り返す場合は結膜の血管にできた静脈瘤などを疑い、原因血管を焼き潰す処置を行うことがあります。

 高齢者に多いのが「結膜弛緩症」です。加齢によってたるんだ結膜が下まぶたの縁に垂れ下がることで起こります。目をこすったり、強くまばたきしただけで血管が切れてしまうのです。応急処置として、点眼薬や外来手術を行うケースもあります。

▽妹尾正(せのお・ただし) 1986年3月独協医科大学医学部卒業。90年7月厚生連石橋病院眼科医長、91年6月日本眼科学会認定眼科専門医に。2002年7月独協医科大学眼科学教室助教授、06年4月から同大眼科学教室教授を務める。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」にて解説します。

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