医者も知らない医学の新常識

自宅で計測すると高い数値が…「仮面高血圧」は意外に多い

家で測ると高くなるのは…
家で測ると高くなるのは…

 健診で血圧が高いと言われて血圧の薬を飲んでいる人は多いと思います。

 以前は病院を受診した時に、診察室で測定する血圧が正しいと言われていましたが、今では自動血圧計を使って測定する家庭での血圧も、同じくらいに重要であると考えられています。

 自宅での血圧は正常なのに、病院に行くと血圧が上がることを、「白衣高血圧」と言います。病院で緊張することにより、一時的に血圧が上がるのです。

 その反対に病院では正常なのに、家で測った血圧が高いことを、「仮面高血圧」と呼んでいます。

 仮面高血圧はこれまであまり重要とされていなかったのですが、最近診察室での血圧が正常であっても、心筋梗塞や脳卒中の危険性を高めることが分かって、注目を集めるようになってきています。

 それでは、なぜ病院では上がらない血圧が家では上がるのでしょうか?

 今年の高血圧の専門誌に、興味深い研究結果が報告されています。診察室での血圧が正常で通院中の高血圧の患者に24時間の血圧測定を行うと、なんと6割近い患者は仮面高血圧であったのです。そうした患者の多くはストレスや緊張を示すホルモンの数値が、家庭内では増加していて、それが血圧を上昇させるアルドステロンというホルモンの増加に結び付いていました。

 家でストレスを感じて血圧が上がっている人は、想像以上に多いようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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