時間栄養学と旬の食材

鯛はミネラル、ビタミン、DHA、EPAが豊富

朝にゴハンと食べるとシャキッとする
朝にゴハンと食べるとシャキッとする

 おめでたいときに食べる鯛。脂が乗っている時期は一般に冬~初春ですが、今では養殖技術も進み、一年中、脂が乗った鯛をスーパーなどで手にすることができます。

 鯛は白身魚のひとつですが、一般的な白身魚と比較するとミネラルやビタミン、そして青魚に多いとされるDHA、EPAがたくさん含まれるといわれています。特に養殖のマダイは脂質が多いので、それだけビタミンやDHA、EPAも多く、栄養価の高さは魚類でトップクラスなのです。

 鯛の中でも一般的に食べられるマダイにはタンパク質を構成するアミノ酸が豊富。疲労回復や新陳代謝促進作用のあるアスパラギン酸、筋肉の成長や修復、強化に効果があり、上昇した血糖値を下げるインスリンの分泌を促してくれるロイシン、タンパク質合成に関わるリジンなど、スポーツや筋トレをする方にもおすすめです。

 天然の鯛は、好んで食べるエビやカニが持つアスタキサンチンという赤色色素によって体の表面が赤くなっています。このアスタキサンチンは老化防止や疲労回復効果に役立つとされる強い抗酸化作用を持ちます。また、生活習慣病の予防や改善に効果があることも報告されています。ちなみに鯛は魚の中でも日焼けをする魚なので養殖の場合シートをかぶせることも。体表の黒い部分は日焼けなのです。

■朝にゴハンと食べるとシャキッとする

 時間栄養学として考えると「夜に食べるなら白身の魚の方がいいよ」とお話ししていますが、鯛の栄養成分を考えるとまさに「朝向き」の食材と言えます。鯛単品ではなく、ゴハンなどの炭水化物と一緒に取るようにすると朝にシャキッとする効果がUPします。

 天然のマダイ、キダイ、チダイはビタミンB群が少なめですが、脂質も少なく一切れ約31キロカロリー程度と低エネルギー。クロダイは唯一、皮膚、髪、爪などの再生や、老化原因のひとつである過酸化脂質を消し去る働きを持つビタミンB2が豊富です。

 このように、鯛の種類や取れる季節、養殖か天然によっても若干栄養価に差がありますので、目的に応じて選ぶのもいいでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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