セックスが痛い

古い価値観を捨て、「2人の気持ちいい」を探求しよう

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 セックスの痛みはなくせる・防げる・“気持ちいい”に変えられる――。そう信じて、性交痛に特化した情報を発信しています。

 それは単なる漠然とした思いではなく、私たちが抱えやすいセックスの課題に気づいているから。本連載でも何度か取り上げてきましたが、婦人科を受診しても異常が見つからず、加齢や体質で性交痛が生じている場合、セックスの工夫で痛みをなくせます。

 ただし、2つのハードルを乗り越えなくてはなりません。ひとつは、性について話し合うことの恥ずかしさ。特に女性は性に関して口にすることをよしとされない文化で育っているので、年齢を問わず、性の要望を伝えづらい点があります。

 もうひとつは、女性の快楽への抵抗感。セックスは男性が楽しむもの、と無意識に考える人は少なくないと思います。女性が性交時に快楽を得ることに「性に奔放」などとネガティブなイメージもあり、女性の中には「セックス=楽しくない」が無意識に定着していることも。それに痛みがプラスされれば、もうセックスは勘弁とセックスレスになりやすい。

 私たちは、男女ともに商業的につくられた“セックス像”にとらわれがち。これまで当たり前だと思ってきた挿入・射精のセックスのパターンは、生殖目的でなければ必ずしも必要なセットではありません。従来、当たり前とされてきたセックスのスタイルから、最近は自分たちで考え、つくっていくセックスがトレンドになりつつあり、関連書籍やグッズも出ています。

 トレンドに乗れないカップルは、従来の性に対する考え方に邪魔をされているのかも。古い価値観を捨て去れば、「2人の気持ちいい」の探求に集中でき、臨機応変に痛みを避ける体位やタッチ、グッズの活用などの工夫が自然と生まれてくるのではないでしょうか。

「セックスが痛い」の連載は今回で最終回。皆さんがご自身の力で楽しい性生活へ変えられると信じています。長い間ありがとうございました。(おわり)

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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