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花粉食物アレルギー症候群 花粉症患者の10~40%が該当

スギ花粉症からトマトアレルギーになる人も
スギ花粉症からトマトアレルギーになる人も(C)日刊ゲンダイ

 花粉症がきっかけで、特定の食物に対してアレルギーになるということがあります。これを花粉食物アレルギー症候群といいます。例えば、ハンノキや白樺の花粉症になると、バラ科の食物の実にアレルギー反応を起こすようになります。バラ科の食物といえば、桃、リンゴ、さくらんぼ、いちごなど。どれも一般的な果物です。

 症状は、上記の果物を食べると舌がピリピリ感じたり、呼吸困難になったり、触れるだけで手や顔がかゆくなったり、かぶれるなど。花粉症の人の約10~40%にこのような症状が表れるといわれており、その理由は、花粉のアレルゲンと食物に含まれるアレルゲンが似ているため、アレルギー反応が起こるからです。

 このような花粉食物アレルギー症候群は、スギによる花粉症の人にもあります。

 私が見てきた患者さんの中には、スギ花粉症からトマトアレルギーに至った方がいました。イタリアンレストランの従業員の方で、就職してからトマトの扱いが多くなったとのことでした。

 トマトに触れるだけでかゆみが生じるので、手袋を着用して仕事をされているとのこと。アレルゲンが職業と直結する場合は、キャリアチェンジを余儀なくされる場合もあるので大変です。

 他にも、よもぎアレルギーから、ニンジンのアレルギー症状を発症したケースがありました。

 この方は、通勤途中に気を失って倒れたのですが、その原因を探したところ、朝食に飲んだ野菜ジュースに入っていたニンジンによるアナフィラキシーショックと判明しました。本人も自覚しないまま、知らずに口にしたものでショック反応を起こし、気を失ってしまったのです。

 ブタクサアレルギーの方には、メロン、スイカ、きゅうり、ズッキーニなどウリ科の食物にアレルギー反応を起こす方もいます。

■果物を食べて喉がイガイガする人は要注意

 いずれの食物アレルギーにおいても、対処法としては避けるのが一番です。まだそれほど多くはありませんが、アレルゲンのもととなる成分を体に取り入れてもらう減感作療法という治療法があります。現在はスギ花粉症やダニアレルギーのみ。今後、この治療法の開発が進んでいけば食物アレルギーを治せる時代が来るかもしれません。

 抗ヒスタミン薬の内服で多少症状が緩和できる可能性がありますが対症療法であり治癒させる治療ではありません。予防法も研究がされているものの、まだいいものがないのが現状です。食物アレルギーの克服にはまだ時間がかかりそうです。

 良い治療法がないとはいえ自分のアレルギーを把握していないと何かの拍子にアレルギーを起こす食べ物を食べてしまいアナフィラキシーを起こすかもしれません。果物を食べて喉がイガイガするようでしたら、ぜひ皮膚科またはアレルギー科を受診してください。

葉山惟大

葉山惟大

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