コロナ第6波に備える最新知識

冬はもうすぐ…新型コロナ第6波はいつから始まるのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 10月21日の国内の新規感染者数は334人。前日より53人少なくなった。これは8月20日の新規感染者数2万5851人の77分の1であり、新型コロナ第5波は、ほぼ収束したようだ。

「昨年と違って日本人の多くがワクチン接種しているし、もう大丈夫」と思う人もいるだろうが、安心してはいけない。専門家の多くは、いずれ感染再拡大が起こり、第6波が来ると予想している。

 では、いつ頃その傾向はあらわれるのか?

 一般的にコロナウイルス感染症は温度や湿度といった気候の変化で流行の度合いが変わることが知られている。実際、北半球の日本で季節性インフルエンザは、気温が低下して空気が乾燥する冬から春にかけて流行する。

 新型コロナ感染症の新規感染者数の推移を示すグラフを見ると同じような傾向が見てとれる。昨年の9、10月は新規感染者数は比較的少なく、11月5日には1000人を超え、そこから増えて第3波に突入したことがわかる。

 感染してから体内にウイルスが増殖する時間を考えると10月最終週あたりから11月初旬にかけて感染が増えていった可能性がある。

■気温11度以下になると危ない?

 では、このときの気温と湿度はどうだったのか?

 例えば、昨年10月25日の東京の最低気温と最小湿度はそれぞれ11.4度と30%、11月1日は9度と46%、同5日は9.1度と31%だった。その時期はおおむね最低気温が10度前後で、最小湿度が30%台に突入した時期だったことがわかる。

 いまの最低気温と最小湿度はどうか? 10月18日は9.2度と38%、10月20日には11.6度と29%を記録している。

 実は、米メリーランド大学などのグループは、昨年3月上旬までの世界の50都市について、気温や湿度と新型コロナウイルスの流行の関係を分析した。その結果、感染者が多かったのは平均気温が5~11度で比較的、湿度が低い地域に集中していたという。

 つまり、既にいまの日本は感染再拡大の入り口に差し掛かっており、感染リスクが高い時期に突入しているということだ。

 むろん、気温と湿度だけで感染拡大を説明することはできない。むしろ、人の移動や人口密度などの要因の方が感染拡大に、より関係していると考えるのが自然だろう。とくにいまは日本人の多くがワクチンを接種しており、昨年とは状況が大きく異なっているのも事実だ。

 とはいえ、気温と湿度はウイルスの拡散を促す要因のひとつとして頭に入れておく必要がある。

 では、今後どのような点に注意しておかなければならないのか? 弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「これから寒くなると窓を開けずに『3密』になりやすくなり、のどや鼻の粘膜が乾燥して、免疫力が落ちたりして感染しやすくなります。手洗いやうがいをしっかりして、なるべく厚手の衣類で寒さを防ぎ、マスクをしっかりすることが大切です。自宅や職場で暖房を使う際は換気に注意しましょう。部屋の対角線上の2カ所の窓を開けるとスムーズに換気ができます。対角線上に窓がなければ換気扇を使うのも手です。湿度管理も大切でエアコンの風があたる場所に加湿器を置き、部屋の隅々まで水分が届くようにするといいでしょう」

 いずれも、昨年も強調された基本事項だが、忘れていたり、「もういいんじゃないか」と先行きを楽観する人もいるはずだ。しかし、経済再生のため社会的な規制が緩和されたとはいえ新型コロナが死滅したわけではない。ワクチンを打っても感染して亡くなる人もいる。感染リスクが高く、重症化しやすい65歳以上はとくに、「またか」と思わず、しっかり基本事項を守ることだ。

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