ワクチン接種とも関係あり?コロナ禍で「帯状疱疹」が増加している

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 9月20日、ブログで帯状疱疹を患っていたことを明かしたタレントの薬丸裕英さん(55)。その中に、「先生曰く…『コロナ禍で帯状疱疹の患者さんが増えている』とのことでした」と書いている。コロナと帯状疱疹、関係がある?

 7月にコロナに感染・治癒した都内在住の50代男性は、10月に帯状疱疹を発症。受診した病院で「コロナが治った後、帯状疱疹を発症する人が結構いる」と言われた。

 また、コロナワクチンの副反応疑いとしても報告が上がっている。12月3日時点で、医療機関からの副反応疑い報告は、ファイザー製で帯状疱疹78件、モデルナ製で帯状疱疹4件。因果関係は現段階では認められていない。ちなみに、ファイザー製は推定接種者数約1億6300万回。

「接種回数と副反応疑いの報告件数を見る限り、ワクチンが直接的に帯状疱疹に関係している可能性はそれほど高くないと思います。一方で、コロナ禍で帯状疱疹の患者さんが増えているというのは理解できます」

 こう話すのは、日大医学部板橋病院皮膚科助教の葉山惟大医師。 

 帯状疱疹は水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスで起こる。水ぼうそうが治った後もウイルスは神経節に潜伏。加齢、過労、ストレス、体調不良などで免疫力が低下すると活性化し、帯状疱疹を発症する。

「コロナ発症で体力が落ちることは十分に考えられますし、コロナ禍でストレスが増えた人は多いでしょう。外出制限や在宅勤務で運動量が減れば体も弱る。ワクチン接種後、体調不良に襲われる人も珍しくない。コロナやコロナワクチンで帯状疱疹が増えているとすれば、これらの免疫力低下が原因だと考えられます。ただし、海外からはワクチン接種後に、ほんのわずか帯状疱疹のリスクが上がるという報告もあります。しかし、重症化はしないのでそれほど心配はないと思います」(葉山医師=以下同)

■痛みを伴う水膨れができたら2~3日以内に受診

 帯状疱疹の症状は、多くは体の片側の皮膚に神経痛のような痛みが起こり、水膨れを伴う赤い発疹が帯状に表れ、痛みが強くなる。治療の中心は抗ウイルス薬の服用。発疹が出てから72時間以内の服用が望ましい。

「現在、帯状疱疹の水膨れを破いて中に水痘・帯状疱疹ウイルスの有無を調べる検査が保険適用になっているので誤診は少なくなりました。非常によく効く薬『アメナリーフ』も登場しており、従来より早く治るようになっています」

 ポイントは「痛みを伴う水膨れができたら、たとえ数が少なくても、2~3日以内に皮膚科を受診する」。早期発見・早期治療は、早期治癒というメリットがあるだけではない。合併症と後遺症のリスクを減らせる。

「顔面の帯状疱疹では角膜炎や結膜炎といった合併症がありますし、体が弱っている人では髄膜炎という重症な症状に至ることがあります。また、帯状疱疹は約2割が帯状疱疹後疼痛という後遺症に移行するといわれています。早期治療で、これらを避けられる可能性が高くなります」

 帯状疱疹後疼痛は、神経が障害されたためにその神経興奮が脳に伝わって「痛い」と知覚されるもの。水膨れや発疹といった皮膚の症状が消えても長期間にわたり痛みが続く。帯状疱疹が重症化した人、高齢者はより帯状疱疹後疼痛が起こりやすいので注意だ。

「鎮痛薬は良くないと、帯状疱疹の痛みがあっても飲まずに我慢する人がいます。しかしそれは症状を長引かせ、帯状疱疹後疼痛を招く恐れがあります。少しでも痛みがあれば、迷わず飲むべきです」

 帯状疱疹は80歳までに3人に1人が発症するといわれている。予防策として帯状疱疹ワクチンがある。患者数が増加する50歳以上が対象だ。その年齢に該当するなら、コロナを機に帯状疱疹ワクチン接種を検討してはどうだろう。

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