東洋医学を正しく知って不調改善

持病で薬を飲んでいても漢方薬をプラスして問題はないのか

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 漢方薬がはじめて保険適用になったのは1967年。現在は、生薬からエキスを抽出し顆粒や粉末などに加工したエキス剤が約150種類、煎じ薬やエキス剤に用いる生薬が240種類、保険適用になっています。西洋医学を専門とする医師も、患者さんに漢方薬を勧めるケースが増えてきました。

 では、西洋医学の薬に漢方薬をプラスしても良いのか? 

 私の経験から言えることは、慢性疾患の場合、普段から飲んでいる薬(西洋薬)に漢方薬をプラスするのは基本的にはOK。ただし、併用する場合でも同時に服用するのは避けた方がいいでしょう。漢方薬は一般的に空腹時に飲みます。食後に飲む西洋薬とは間隔を空けやすいと思います。

 また、併用する場合は、漢方薬に詳しい医師か薬剤師に、併用がOKか、確認してください。併用してはいけない「併用禁忌」というものがあり、現在のところ、「間質性肺炎」を引き起こすリスクが高いとされる「インターフェロン製剤」と「小柴胡湯」のみが忌避されています。

王瑞霞氏
王瑞霞氏(提供写真)

 一方、漢方薬を積極的に併用するケースも少なくありません。がんの治療では、手術後や、放射線療法・化学療法の後、漢方薬の「十全大補湯」を用いると、副作用の軽減や命の質の向上につながり、延命効果が期待できることがわかっています。また、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性関節リウマチなどに対しては、漢方薬を併用することにより、ステロイドの減量、離脱が可能となるなどの効果が期待できます。

 いずれにしても2種類以上の薬を同時に服用する場合に注意したい点は、一方の薬の薬効が期待通りに表れなかったり、逆に効果が増幅されるなどのいわゆる「相互作用」が起きること。これらは絶対に避けなければなりません。漢方薬に限らず、たとえば2カ所以上の病院で処方された薬を自分の判断で併用することは避ける。繰り返しになりますが、必ず医師や薬剤師に確認の上、併用してください。

王瑞霞

王瑞霞

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

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