気候変動をもたらす温室効果ガスの排出原因は、主に石油や石炭の燃焼で生じる二酸化炭素です。しかし、食糧生産による温室効果ガスの排出量も軽視できません。とりわけ、牛をはじめとした家畜のげっぷや排泄物には、多量のメタンガスが含まれており、温室効果ガス排出の大きな原因となっています。
環境問題に関心が集まる中で、環境的に持続可能で健康的かつ栄養的に十分な食品の供給は、世界共通の課題としてその認識を強めています。そういう意味では野菜、果物、豆類、魚介類などを基本とした食事は、健康的であるとともに環境的にも持続可能な食事かもしれません。そんな中、食品と温室効果ガスの排出量を検討した研究論文が、国際的な科学誌である「プロスワン」の電子版に2021年11月23日付で掲載されました。
この研究では3287品目の食品について、生産工程で発生する温室効果ガスの排出量が推定されました。また、英国に在住している212人(平均43歳)を対象に、食事の摂取状況と温室効果ガスの排出量が調査されました。
調査の結果、3287品目の食品のうち、温室効果ガスの発生原因として特定された食品は3233品目(98%)でした。食事に関連して排出される温室効果ガスは、肉類が最多で32%を占め、次いでお茶やコーヒー、アルコール類などの飲料が15%、乳製品が14%となっています。
また、温室効果ガスの排出量は野菜を主とする食習慣の人(ベジタリアン)と比べて、そうでない人(非ベジタリアン)で59%、女性に比べて男性で41%、統計学的にも有意に多いことも分かりました。論文著者らは「環境的に持続可能な食事を推進する政策においては、植物由来の食事に関心を向けるべき」と結論しています。
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