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ペンだこが痛い…治療したほうがいいのか セルフケアの方法は?

皮膚科医の生垣英之氏
皮膚科医の生垣英之氏(提供写真)

 ペンを握る時間が長く、指にペンが強く押し付けられると、親指や中指の第1関節に「ペンだこ」ができます。

 指の同じ場所に一定期間、摩擦が生じることで、ペンから皮膚に衝撃を受けますが、それによって指が痛くならないよう、皮膚を硬くして骨を守ろうとする防御反応のひとつです。

 たこができて硬くなった皮膚は「角質」と呼ばれます。通常は、セルフケアで処置できますが、ペンを握っただけで指が痛みを感じたり、イボができてしまった場合、皮膚科で治療が必要になります。

 セルフケアであれば、最初にペンだこと周囲の皮膚をぬるま湯につけて角質をふやかします。皮膚が軟らかくなったら、軽石や爪やすり、ハンドタオルで角質をこすり落とします。セルフケアで爪切りやカッターナイフなどを使うと、皮膚を傷つける場合があるので、お勧めしません。角質を落とした後は、ハンドクリームを塗ってしっかり保湿しましょう。

 また、削るのではなく、患部に市販薬のサリチル酸含有テープ(スピール膏)を貼って、角質を軟らかくして様子を見る方法もあります。ただし、糖尿病や血行不良の方は、使用前に医師に相談してください。

 一方、皮膚科では、治療として専用のメスやハサミを用いて角質の表面を除去しています。

 通常、ペンだこに感染症は伴わないため、炎症や痛み、赤みといった症状が見られたら、必ず皮膚科で処置を行ってください。

 さらに、同じく靴擦れによってたこのできやすい足の裏と違って、指は皮膚が薄いのでセルフケアでそぎ落としすぎると出血のリスクが生じます。出血した傷口からウイルス感染し、イボ(尋常性疣贅)が発症するケースもあります。

 イボの検査は、皮膚科などで色素性病変や疣贅の臨床症状を観察するためのダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡を使って行います。

 イボと認められて治療になると、主に液体窒素を用いた冷凍凝固療法を実施します。マイナス196度の液体窒素を綿棒に染み込ませ、患部に当てます。イボを急速冷凍することで、ウイルス細胞を凍結壊死に至らせます。

 ペンだこの予防としては、ペンを親指と人さし指でつまみ、中指は添える程度にします。指に余計な力を入れないことが大切です。

 そのほか、市販でペンだこ防止用のクッションテープも販売されていますから、予防的に活用するのもいいでしょう。

▽生垣英之(いけがき・ひろゆき)2002年3月弘前大学医学部卒業後、信州大学皮膚科入局。04年11月佐久総合病院皮膚科、07年4月信州大学皮膚科、08年9月長野赤十字病院皮膚科(科長)、10年4月大宮皮膚科クリニック院長、17年5月こだま皮膚科院長を経て、19年1月に古河いけがき皮膚科開院、院長を務める。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

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