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尿失禁は症状で対策も異なる 重症度を知るための自己チェック法「パッドテスト」

自分の症状を把握することが大切(写真はイメージ)
自分の症状を把握することが大切(写真はイメージ)/(C)PIXTA

 尿失禁では、自分のタイプや症状の程度を自覚しておくことが対策をとる上でも大切になる。医療機関を受診する際にも、医師とのコミュニケーションがスムーズにとれる。

 医療機関では、患者の排尿状態を知るために、患者が自分で行う「排尿日誌」や「パッドテスト」といったチェック法を勧める場合がある。

「排尿日誌」は、丸2日間の排尿状態を記録する。排尿した時間、尿量、排尿時の状況、尿失禁が起きた状況などを書き出して、尿失禁のタイプや症状の程度などの判定につなげる。

「パッドテスト」という自己チェック法も、診療で一般的に広く行われている。何が分かるのか。「尿トラブルは自宅で治せる」(東洋経済新報社)の著者で「永弘クリニック」(埼玉県新座市)の楠山弘之院長が言う。

「尿失禁にはさまざまなタイプがあるだけでなく、症状の重さも人によって異なります。その症状の重さと尿失禁のタイプによって、対策も違ってきます。パッドテストは尿失禁の重症度を判定するのに有効なのです。ほとんどの医療機関では、ICS(国際尿禁制学会)が認める『1時間法』に沿って行われています。方法さえ知っていれば、誰でも自分で実施できます」

(C)日刊ゲンダイ
4段階で判定

 パッドテストではまず、尿漏れを吸収できるようなパッドをつけて、水を飲む。パッドの重さはあらかじめ量っておく。次に尿漏れが起こりやすいような軽い運動をして、60分後に再びパッドの重さを量る。この間のパッドの重さの差から、漏れた尿の重さが分かる。それにより症状の重さを判定する。

「パッドテストの評価は漏れた尿の重さで行います(別項)。このときに、尿失禁のタイプによって基準を変えることはせず、どのタイプにも同じ基準を使い、『正常』『軽度』『中等度』『高度』の4段階で症状の程度を評価します。尿失禁を訴える患者さんの多くは軽症です。腹圧性尿失禁では、『軽度』『中等度』が多い。腹圧性では『中等度』までの場合は、『骨盤底筋トレーニング』などの自宅で治療できる可能性は高いのです」

 パッドテストの評価は次のようなものになる。別項の表の検査終了の算式に「(b)-(a)=(c)」とある。これはテスト後のパッドの重さからテスト前のパッドの重さを引いたもの。検査の判定結果は次のようになる。

■検査判定  

①「高度」と判定されるのは、結果が「10.1グラム」以上
②「中等度」と判定されるのは、結果が「5.1グラム」から「10グラム」の場合
③「軽度」と判定されるのは、結果が「2.1グラム」から「5グラム」の場合
④「正常」と判定されるのは結果が「2グラム」以下の場合

 パッドテストで2グラム以下の「正常」と判定されても、本人が尿漏れの違和感などで困っていれば受診した方がいいという。

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