科学が証明!ストレス解消法

人見知りアピールはマイナス!相手と距離ができ親密度が低くなる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 初対面の人とどのように接していくかは、多くの人が気をもむところだと思います。中には、「私は人見知りなのですが、みなさんよろしくお願いします」と、事前に“断り”を入れてあいさつする人もいると思いますが、実は人見知りアピールは好ましくありません。「かえって好感度や親密度を下げるだけ」という結果が、ニューヨーク州立大学のアーサー・アロンらの研究(1997年)によって示唆されています。

 最初に断った方がいいと思うかもしれませんが、「人見知りなんで」「あんまり勉強する時間がなくて」「バタバタしていて」という具合に、あらかじめ予防線を張って、失敗する言い訳をつくることを「セルフ・ハンディキャッピング」と呼びます。

 これがあるほど、自分に向き合えず改めることができなくなるといわれています。

 アロンらの研究では、それぞれ初対面の男女がペアになってもらい、15分間トークをしてもらいました。その上で、被験者を2つのグループに分け、Aグループは【できるだけ相手と親密になるように心がける条件】をつけ、Bグループには【あまり自分をさらけ出さないという条件】をつけました。

 トーク終了後、お互いの親密度を測定する心理テストを実施したところ、Aグループの方が親密度が高かったそうです。人見知りを宣言することは、相手と距離ができ、お互いをさらけ出さない状況になるため、Bグループの条件のような関係性になってしまうというわけです。

 そもそも、「人見知りなんです」と伝えることは、人によっては「え?私に気を使えって!?」と解釈する人もいるわけで、関係性を滑らかにする“断り”になるとは限りません。

 だからといって、自分の得意分野の話ばかりして、距離を縮めようとするのも大間違いでしょう。「情報の氾濫は共感能力を妨げる」といわれていて、あれもこれも詰め込んだような見せ方や伝え方をすると、かえって人は認知的に過負荷となり、深く心に刻み込まれるのを妨げてしまいます。

“魚心あれば水心”ではないですが、心理学の世界では、相手の気持ちを呼び込むためには、「自己開示」が有用であると説いています。自分の素の感情やプライベートな側面を見せると、相手もそれに応じて自己開示をする。つまり自分が心を開けば、相手も開いてくれるのです。その繰り返しによって関係性が形成されていきます。

 会話はキャッチボールにたとえられます。まさに互いにボールを投げ合うから、関係性が向上していく。初心者アピールをしたり、暴投を繰り返していたりしたら、相手も逃げてしまいますよね。

 不安や警戒は自己防衛手段ですから、安易に心を開けないことはおかしくありません。あなたが心を開きたいときだけ話せば大丈夫。あなたが開示した程度に比例してレスポンスをする人の方が、相手の気持ちを尊重できる人。そういう人とだけ少しずつ距離を縮めていけば、安心しやすい環境をつくれるはずです。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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