水虫悪化を防ぐ!専門家が教える「知っておくべき7つのポイント」

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写真はイメージ(C)PIXTA

【かゆくなくても水虫】

「テレビCMなどでは、いかにもかゆいような感じですが、あれは間違いです」(埼玉医大皮膚科・常深祐一郎教授)

 足の水虫菌(白癬菌)は、宿主(人間)の免疫に察知されないよう角質層にひっそりとすみ着いている。だからほとんど症状がない。

「水虫じゃないと思っている人の中にも、単に気づいていないだけという人がかなりいるはずです。そういう人も水虫菌をばらまいています」(常深教授)

【見た目でわからない】

 足の指の間の皮膚がじゅくじゅくしている、皮が剥ける、皮膚がふやけて白くなる、水膨れが足の裏にできる、かかとがカサカサする……。典型的な水虫の症状だが、水虫をよく診ている皮膚科医でも、見た目だけで水虫かどうかは診断できないという。

「水虫の症状とそっくりな皮膚疾患はいくつもあります。顕微鏡検査をせずに水虫という診断をするのは皮膚科医でもかなり難しく、ほぼあてずっぽうに近い。一般の人が見た目で水虫だと判断し薬局で水虫の治療薬を買うのは、外れていることも少なくない」(常深教授)

【すぐには感染しない】

 水虫菌は角質層にすみ着いている。水虫持ちから、その水虫菌付きの角質層がはがれて床などにばらまかれ、それを踏みつけくっ付けたままにすることで、感染する。

「12~24時間以上で感染が成立します。水虫菌は、長ければ1年近く床などに落ちたまま生きています」(常深教授)

 足の水虫は日本人の5人に1人が該当するといわれている。温泉、プール、スポーツジムなど、裸足で歩くところにはほぼ水虫菌がいると思って間違いない。それを踏みつけ、帰宅後そのまま寝ると感染は成立。回避するには、足を洗ってから寝るとよい。

「ただ、家族に水虫持ちがいれば、自宅で足を洗ってもその後にまた水虫菌が足に付いてしまいます。家族みんなで治療しましょう」(常深教授)

【爪にも水虫菌がいる】

「足の角質層の水虫菌が繁殖すると、爪の先端や横から爪の下に侵入し、そこに高温多湿という水虫菌にいい条件がそろうと、爪や爪の下でも水虫菌が繁殖します。これが爪白癬で、日本人の10人に1人が感染しているという報告があります」(順天堂大医学部皮膚科学講座・木村有太子医師)

 爪の一部、または全部に濁り、変形、厚みがあれば、爪白癬が疑われる。特に、足の水虫が自分や家族にある人は要注意だ。爪白癬は悪化すると転倒リスクを高める。早めに皮膚科に相談した方がいい。

【運動をしている人は水虫になりやすい】

「国内の調査で、ゴルフでは1.46倍、水泳1.3倍、ジョギング1.14倍と、数字の差はあれ、運動をしている人の方がオッズ比が高いとの結果が出ています」(常深教授)

 理由として、靴を履く時間が長く、シャワールーム、更衣室など、水虫菌がばらまかれている環境と接する機会が多いことが挙げられる。

「運動をしている人は代謝が良く、汗をかきやすい。それも水虫が多い理由と考えています」(木村医師)

【爪白癬なら飲み薬】

「塗り薬もありますが、硬い爪の奥までなかなか成分が浸透しづらい。確実に治したければ、飲み薬がベスト」(常深教授)

 最新の薬では、3カ月ほど飲み続ければ、1年後にはかなりの確率で治るとの結果が出ている。

【足も爪も両方治療】

 足の水虫だけ治しても爪白癬がそのままなら、感染のループが続く。逆もしかり、だ。

「爪白癬の飲み薬で足の水虫にも効果を発揮しますが、足には塗り薬も使うとなおよい。塗り薬で菌がばらまかれるのを防止できるというメリットもあります」(常深教授)

 かかとがカサカサしているタイプの水虫には「角質を柔らかくする薬も併用することがあります」(木村医師)。

 なお、足の水虫と爪白癬は薬が違う。足の塗り薬は薬局でも買えるが、爪白癬は処方薬のみ。

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