新型コロナウイルスの感染が拡大する中、さまざまなメディアを通じて感染予防に関する情報が発信されてきました。情報の伝達という意味では、Twitterなどのソーシャルメディアが果たす役割も大きく、良くも悪くも人の生活や社会に、大きな影響を与えています。
しかしながら、感染予防に関する情報の入手経路と実際の感染予防行動に、どのような関連があるのかについてはよく分かっていませんでした。そんな中、新型コロナウイルスに関する感染予防行動と、感染予防に関する情報源の関連性を検討した研究論文が、ヘルスケアに関する国際誌に2022年3月13日付で掲載されました。
この研究は、2020年と2021年に日本で実施されたインターネット調査の結果を解析したものです。20~79歳の1万8151人(平均51.7歳、男性51.3%)が解析の対象となりました。2回分のアンケート結果をもとに、「マスク着用」「屋内換気」「社会的距離」「混雑の回避」といった4つの感染予防行動について、解析対象者が利用していた情報源(人や組織、ソーシャルメディア、マスメディアなど20種)との関連性を検討しています。
解析の結果、感染予防行動を守っていた人は、2020年の調査で、マスク着用86.2%、屋内換気46.9%、社会的距離45.4%、混雑の回避62.6%でした。また、2021年の調査では、マスク着用89.3%、屋内換気38.2%、社会的距離47.2%、混雑の回避61.6%でした。
感染予防行動と情報源の関連性を調べたところ、医療従事者、専門家、政府、Twitter、ニュースサイト、テレビニュースから情報を得ることが、2つ以上の感染予防行動を守ることに関連していました。
論文著者らは「感染予防のための情報提供において、情報源の種類は重要な役割を果たす」と結論しています。
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