現場専門医に聞いたオミクロンBA.5とのつき合い方

オミクロン変異株に対してワクチンは本当に有効なのか?

4回目接種を受ける小池百合子都知事
4回目接種を受ける小池百合子都知事(C)共同通信社

 想像を超えるスピードで、コロナ感染の第7波が拡大している。何が原因なのか、ワクチンは有効なのか、どこまで広がるのか、終息はいつか。現場で診療にあたる感染症が専門の奥田研爾医師に聞いた。

【Q】第7波はどんな特徴があるのか

【A】 ここ数週間、幼小児から30代の人が主に感染しています。その半数以上はワクチンを一度も接種していません。
 また、小学生の子供などが感染し、家庭の中で両親や兄弟などに広がり、家族3、4人が感染というケースも目立ちます。

【Q】ということは、ワクチン接種が大事なのか

【A】 家庭内で3、4人が同時に感染するケースでは、3回ワクチンを打った親でも感染しています。でも、拡大を防ぐにはワクチンが最重要であることに変わりはありません。とくに幼小児や若い人のワクチン接種を急ぐ必要があります。そうして、家庭内クラスターを防ぐことです。

【Q】国のワクチン対策は大丈夫なのか

【A】 国として、早急にワクチン接種を増やすべきです。でないと、いまの爆発的感染は止められない。また緊急事態宣言や、強い行動制限をせざるを得ないことになります。ワクチンの在庫は国内に十分にあります。幼小児は、大人の10分の1から3分の1の量でいいので、商品券などをつけてでも、ワクチン接種を急ぐときです。

【Q】ワクチンを何度も打っている人でも感染するのはなぜか

【A】 知られているように、ワクチンを打つと、その株に対する抗体力は上がるが、変異した株に対してはあまり効果がありません。またワクチンの有効性は6カ月程度です。変異して、抗体に耐える力をもった耐性株が、ワクチンとワクチンの間をかいくぐって感染を広めているのです。でも、だからといって全員にワクチンが効かないということではないし、ワクチンは今の株でも半数程度効くし、重症化を防止する作用があります。

 感染しないためには、とにかくワクチン接種を急ぐことです。あと数カ月でオミクロン株用のワクチンが出てくるでしょう。(つづく)

■昨年までの連載「新型コロナワクチンの疑問に答える」が好評発売中です。



ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます

(発行:日刊現代 発売:講談社)

奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

関連記事