現場専門医に聞いたオミクロンBA.5とのつき合い方

コロナ第7波急拡大 1日数十万人規模で陽性者が出るとの予測も

7月中旬頃から感染拡大が顕著に
7月中旬頃から感染拡大が顕著に(C)共同通信社

「爆発的感染」が近いといわれるコロナ第7波。われわれは、どうすべきなのか? 現場で診療にあたる感染症が専門の奥田研爾医師に聞いた。

【Q】第7波はどこまで拡大するのか

【A】 日本中で1日に数十万人規模で陽性者が出るのではないかといわれています。

【Q】感染の疑いが出たらどうすればいいのか

【A】 少し微熱がある、喉が痛いなどの症状があったら、検査をしてください。そして陽性となったら、病院やホテル、自宅で隔離となり、投薬することになります。

【Q】どんな薬を使用するのか

【A】 私の診療所では300人近い陽性者を治療しましたが、薬は主にデカドロン、カモスタット、解熱剤、ラゲブリオなどです。任意の処方になります。重症化した患者はほとんどいません。

【Q】薬が有効ということなのか

【A】 軽症者から飲むことができる抗ウイルス剤で有効なものはたくさん出ています。こうした治療薬が整備されているので、現在は陽性になっても重症化しにくくなっているのです。ワクチン投与に加え、薬の整備によって、一時は急増する患者数も下がっていくはずです。

【Q】今回のオミクロン株BA.5の特徴は?

【A】 多くは上気道に感染し、高熱、せき、倦怠感などの症状が出ます。しかし、肺での症状悪化や呼吸困難は多くなく、その点で、このウイルスに感染しても重症化しにくいと報告されています。軽症で終わることが多いと言えます。

【Q】症状は軽いが、感染力が異常に強いということか

【A】 オミクロン株はBA.1~5株まで報告されていますが、今回のBA.5株は昨年流行のデルタ株の4倍、今までの主流のオミクロンBA.2の1.3倍ほど感染スピードは速いといわれています。従って、軽症だからといって警戒を緩めてはいけません。爆発的な感染者数になると、重症化率が低いといっても、多くの患者が出る。すると、入院病棟が足りなくなり、いわゆる医療崩壊へとつながります。さらに、沖縄や島根県、あるいは海外ではロンドンなどでは医療関係者が次々とオミクロン株にかかり、医師などが不足し、医療逼迫状態になっています。多くは軽症で済むといっても、感染者が爆発的に増えれば、医療逼迫を招く可能性が強いのです。当然、総数が増えれば、死者数も増えてしまいます。 (つづく)

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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