コロナワクチンで健康被害が生じたら…どう申請すればいいのか

小池都知事は4回目を接種した(C)共同通信社
小池都知事は4回目を接種した(C)共同通信社

 新型コロナワクチン接種後に問題と思われる事象が発生しても、国は知らん顔をしている。そんな不満が国民の間にくすぶっている。実際、厚労省には医療機関からだけでも3万4120件(6月12日まで)の副反応疑いと、1770件の接種後死亡(同24日まで)が報告されている。にもかかわらず、国に救済が認められた人は7月25日時点で850人に過ぎない。それは、多くの人がワクチン接種後の健康被害の申請方法を知らないからではないか。そこで、新型コロナで健康被害を訴える申請方法を調べてみた。

 ◇  ◇  ◇

 予防接種の副反応による健康被害は、接種に関わる過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された人を迅速に救済する制度がある。それが「予防接種健康被害救済制度」だ。予防接種法に基づく救済で、予防接種(定期接種、臨時接種)による健康被害が生じたときに受けられる。当然、新型コロナワクチン接種による健康被害についても救済される。

 予防接種の健康被害の救済は「A類疾病の定期接種・臨時接種」と「B類疾病の定期接種」に分けられる。

「A類とB類の違いを大まかに言うと、主に集団のために接種が必要な疾病か個人のために接種が必要な病気かにより判断されます。新型コロナはA類疾病の臨時接種扱いとなります」(厚労省関係者)

 新型コロナワクチンによる健康被害の救済は、医療機関で医療を受けた場合の①医療費及び医療手当(医療に要した費用=自己負担分と医療を受けるための諸費用)、障害が残った場合の②障害児養育年金(18歳未満)③障害年金(18歳以上)、亡くなった場合の④死亡一時金など⑤葬祭料になる。

■請求者は内縁関係でもOK

 請求できるのは被害を受けた本人や被害者とその家族。内縁関係でも構わない。ただしその場合は内縁関係の事実に関する当事者(内縁関係にあった夫及び妻)双方の父母、その他尊属、媒酌人もしくは民生委員などの証明書または内縁関係にあったと認められる通信書その他の書面が必要だ。

 申請は給付の種類に応じて、住民票所在地の市区町村の窓口に申請する。

「その後、申請書類は都道府県を経由して厚労省の担当部局に渡り、必要書類などを確認したうえで外部の専門家で構成される疾病・障害認定審査会で接種との因果関係が審査される。その結果は市区町村を通じて請求者に伝えられます」(前出の厚労省関係者)

 必要な書類の種類は申請内容や状況によって変わるが、①の場合は請求書、受診証明書、領収書等、接種済み証又は母子健康手帳、診療録等。②は請求書、診断書、接種済み証または母子手帳、診療録等、住民票等、戸籍謄本等。③は請求書、診断書、接種済み証または母子手帳、診療録等。④は請求書、死亡診断書等、接種済み証または母子手帳、診療録等、住民票等、戸籍謄本等。⑤は、④の住民票等の代わりに埋葬許可証等とした同じ書類が必要となる。同時請求の場合は重複する書類は省略可能。請求書、受診証明書、診断書以外はすべて写しで構わない。

「ただし、接種後4時間以内に発症したアナフィラキシーなどの即時型アレルギー反応で接種日を含む7日以内に治癒、終診したケースについては、簡易的な書式での申請が可能になっています」(東京都の担当者)

■給付額はどれくらい?

 では、新型コロナワクチンによる健康被害の給付額は、具体的にどの程度なのか。

「医療費は自己負担額と入院時食事療養費標準負担額などです。医療手当は1カ月の間に通院3日未満で月額3万4900円、通院3日以上で同3万6900円、入院8日未満で同3万4900円、入院8日以上で同3万6900円の、入院と通院がある場合は同3万6900円と規定されています」(前出の厚労省関係者)

 障害児養育年金は1級が年額157万9200円、2級が同126万3600円で、条件によっては介護加算がある。ちなみに1級と2級の違いは予防接種法施行令第12条により規定されている。

「障害年金は1級が年額504万8400円、2級が同403万9200円、3級が同302万8800円で、こちらも条件により介護加算があります。死亡一時金は基本4420万円、葬祭料は21万2000円です。介護加算は1級が年額84万4300円、2級が同56万2900円となります」(前出の厚労省関係者)

 こちらの1~3級の違いは予防接種法施行令第13条にある。なお、申請は状況によりやり方が異なる部分がある。詳細は厚労省や自治体の担当部局に尋ねることだ。

関連記事