コロナ第7波に備える最新知識

全数把握の簡略化、入国制限緩和…日本のコロナ対策は大丈夫なのか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 いよいよ日本も新型コロナ収束に向けて動き出すことになった。

「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の9月8日変更などに伴い、同26日から新型コロナウイルス感染者数の全数把握の簡略化を開始。詳しい報告の対象が重症化リスクが高い人に限定することになり、東京都では27日から新規感染者の性別、区市町村別、ワクチンの接種回数別、施設や家庭といった感染経路などについて詳しい内訳の公表を取りやめることになった。

 海外からの入国制限も緩和され、10月11日からは、感染が疑われる症状がある人を除き、原則として入国時検査を実施せず、入国後の自宅または宿泊施設での待機、待機期間中のフォローアップ、公共交通機関不使用などを求めないこととなる(ただし、ワクチンの接種証明書〈3回〉または出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書のいずれかの提出が必要)。

 その一方で、ワクチン接種の奨励が懸命に行われているが、遅々として進んでいない。

 デジタル庁のワクチン接種記録によると9月29日時点の全国のワクチン接種状況は、1回目接種は全人口の77.58%、2回目接種は同77.09%、3回目接種は同65.38%、4回目接種は同27.36%にとどまっている。

 9月20日からは新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチン接種が開始され、政府は1回目、2回目接種を終えた12歳以上の希望者全員にオミクロン株対応ワクチンの接種ができることをアピールしているが、必ずしも浸透しているとは思えない。全数把握の見直しが新型コロナの警戒感を低下させ、ワクチンへの関心を薄めたせいかもしれない。

■結局は自衛するしかない

 先述の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」によると、医療体制は昨年夏に比べて1万人増の約3.7万人が入院できる体制を整えたとしている。さらにオミクロン株に効果が示唆される軽症から中等症向けの治療薬として、経口薬「モルヌピラビル」「ニルマトレルビル/リトナビル」、中和抗体薬「ソトロビマブ」「カシリビマブ/イムデビマブ」および抗ウイルス薬「レムデシビル」の5種類がそろい、患者の状態や薬剤の特性などに応じて、適切に選択し活用が可能となっているという。

 しかし、医療機関で処方され、副作用が少なく、子どもや妊婦らに使いやすいとされる解熱鎮痛剤「カロナール」が8月に新型コロナ感染拡大で品不足になったことを考えると不安が残る。

 デルタ株などと比較してオミクロン株は重症化しにくいとはいえ、季節性インフルエンザの同時流行が起きるなどしたら、発熱外来・救急搬送・対応病床などの逼迫は避けられないのではないか。

「新型コロナの収束にはウイルスの弱毒化とともに免疫の獲得が必要。しかし、ワクチンで得られる免疫は感染によるものよりも短期間であることがわかっている。そのため政府はワクチン接種で一時的に重症化を抑えつつ、その間に感染することで長期間維持できる免疫がつくことを期待していたのではないか。しかし、接種率低迷でそれは無理。結局は昨年同様、感染防止のための巣ごもり生活などを自主的に続けることになるのではないか」(都内の医師)

 政府が脱コロナに踏み出す以上、政府をあてにせず、自分の身は自分で守る覚悟が必要だ。

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