もちろん、大人同様に有効です。古くから中国や日本において幼児や小児を対象にした治療が行われており、特に日本では独自に発展した「小児鍼」という方法があります。夜泣き、食欲不振、不機嫌、奇声などのいわゆる疳の虫、夜尿、便秘、アレルギー、ぜんそく、胃腸虚弱、自律神経の乱れなど、乳児から未就学児がよく発症するさまざまな症状への対処、または健康増進を目的として施術されています。
この小児鍼の一番の特徴は、使う鍼が成人用のものと違い先端が鈍く、丸い形状の特殊な形をしていることです。
これで皮膚を直接こすったり、ツボを圧迫したりして施術します。大人の鍼治療のように人体に鍼は刺しません。
それでも大人に比べて乳幼児や小児は反応が良く、1回の施術時間が5~10分程度でも施術回数を重ねることで効果が表れます。
ちなみにこの小児鍼を応用し、家庭でもスプーンなどを使う方法でも効果をあげられますので、ぜひ鍼灸師にお尋ねください。
東洋医学を正しく知って不調改善
東洋医学は赤ちゃんや小児にも有効なのか 日本独自の「小児鍼」とは?
次に漢方でもまた乳幼児や小児に対して効果的な処方があります。
例えば、冒頭でご紹介した疳の虫など、神経の高ぶりやかんしゃくや夜泣きなどには「抑肝散」が用いられます。また、食欲不振や腹部膨満には「六君子湯」が、そして便秘には「小建中湯」などが用いられます。
漢方独特の匂いや味を嫌い、服用をためらう子どももいます。そのような時には、幼児ではシャーベットやゼリーなどに混ぜて服用させたり、乳児では水で練った漢方エキス製剤を、口中の上顎に塗りつけた後、すぐに水を与えたりします。乳児の場合、母親が漢方薬を服用して、母乳を通して与える「経母乳投与」といった方法もあります。
いずれにしても症状や体質によって適切な漢方処方があり、年齢によっても服用量が違うため、必ず医師や薬剤師の診察を受けてください。