健康の「素朴な疑問」

朝食の前に“早歩き”を続けていたら筋力が落ちてしまった

写真はイメージ
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【Q】 定年後にダイエット目的で朝食前に1時間、早歩きによる散歩を始めました。散歩程度の運動強度ではやせないと思ったからです。確かに体重も落ちてきたのですが、最近、同時に筋力が落ちてきたような気がします。椅子にドスンと座るようになり、立ち上がるのも以前に比べてスムーズさに欠けるように思います。やり方に問題があるのでしょうか?

【A】 起床時は空腹です。空腹時に散歩のような有酸素運動をすれば、体の中に蓄えられた脂肪がエネルギー源として使われて、ダイエットにいいのではないか。一般的にはそのようなイメージがあります。

 確かに空腹時の有酸素運動は、より効率的に脂肪を消費することがわかっています。しかし、空腹時に長時間の有酸素運動をすると、不足したエネルギーを体脂肪だけでなく筋肉を分解することで確保しようとします。そのため、質問者のように体重が落ちたのはいいが、筋肉も落ちてしまい、高齢者の場合は日常動作がぎこちなくなってしまう場合があります。

 ダイエットを目的にするのなら、まず、消費エネルギーより摂取エネルギーを少なくする食事制限を徹底的に行うことが大切です。そのうえで、筋肉量を減らさないように筋トレをすることです。

 有酸素運動を行う場合は、エネルギーが体に行き渡っている食後の方がいいかもしれません。余ったエネルギーが少なく、体に蓄える量が減るからです。

 ただし、食後すぐの運動はいけません。消化不良を起こす可能性があります。30分程度、時間を空けてから行うといいでしょう。

(弘邦医院・林雅之院長)

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